2015年12月24日木曜日

美本空間。その2

今回の「世界のブックデザイン2014-15」では特に図版の美しい本が目立ったような印象でした。
中でもドイツの「Wahre Monster: Ein unglaubliches Bestiarium」は、紺インクと金インクの2色で刷られたとてもシックで高級感のある図鑑。「真のモンスター」と名付けられた動物たちの細かい描写が美しすぎる本です。


同じ動物を描いた本ですが、「Die Welt der wilden Tiere: Im Sueden」はCGで描かれた動物のデフォルメ感が素晴らしく、そのフォルムは懐かしさを伴う美しさです。こちらもドイツの本。


さらに豊富な写真とスケッチですっきりと世界観をまとめあげた「Hans J. Wegner: Just One Good Chair」もドイツの本。
ウェグナーの椅子を紹介する本はこれまでにも様々なものが作られてきましたが、スケッチの扱いやスナップ写真の扱いが、椅子の本にありがちなカタログ的なデザインから遠ざけたと思わせる上品な作りとなっています。


いずれも美しい本ですし、これらは少部数ではないので、デザイン学校などの参考図書として蔵書されるとより良いのですが。

2015年12月21日月曜日

至福の美本空間。

印刷博物館P&Pギャラリーで開催中の「世界のブックデザイン2014-15」に行ってきました。(2/28まで)


毎年開催される「世界で最も美しい本コンクール2015」の受賞図書を中心に、ヨーロッパやアジアのブックデザインコンクールの入選図書が集められたもので、実際に手にとって本を見られる貴重な展覧会。

この展覧会で装幀や印刷の学習ができるので、グラフィックデザインを学んでいる学生さんには特にオススメですが、純粋に最新の本の良さを感じることもできる素晴らしい機会。
少部数の希少本も多く、この場でしか出会えない素敵な本も多いので例年欠かさず見ています。

今年の一番のお気に入りはオランダのグラフィックデザイナーであるジュリアン・シュロファー(Jurriaan Schrofer)のスケッチを集めた「Schrofer Sketches」。デジタルに限りなく近いアナログのデザインワークが紹介されたこの本は、1,000部という小ロットのため手に入らないでしょうね。
気長に探していこうと思っていますので、手に入れたらまた紹介します。


もうひとつ。技法としては古くからある赤と青の2色で刷られたドイツの絵本「Das magische Zauberlupenbuch」は、この技法では擬似立体視が多い中、赤いフィルムの貼られた虫眼鏡で本を覗くと、赤インクが消えて青インクが際立ち、裸眼で見えなかった世界が目の前に広がる仕組み。もちろん仕組みだけでなく絵もとても素敵です。


2015年12月10日木曜日

誰だろうか。

クレソンの葉に小さいカタツムリが付いていたので葉と一緒にシャーレーに移して観察。
どうも長い殻が気になって、悪名高い外来種のアフリカマイマイのチビか?と疑りながら調べはじめました。

長いといえばキセルガイの仲間ですが、これはキセルの名のとおりとても長いので違う。
キセルガイモドキの仲間でもない。
もっとコロンとした長さ。

ゴマガイというやつがいるらしい。
でもこれもスジの感じや螺旋が違う。

ネットで調べまくって一番似ているのがオカモノアラガイ
殻の造形や水辺に近い植物の葉上が生息域というデータから判断するとこの仲間のようですが、地域ごとにいろんな種類があるとはいえ確信には至りません。
難しいですね。

しばらくシャーレーで飼育してみますか。

2015年11月26日木曜日

和製の最高級フランス式

自転車用のポンプが壊れました。

クロスバイクやロードバイク用に高圧で空気を入れられるフレンチバルブ用のポンプヘッドから空気が漏れています。
これでは圧力があがらないので、ポンプの買い替えを検討してネット検索。

ネットで調べるうちにどうやらポンプヘッドだけを替えるという選択肢があるようで、しかもネットでヒットしてくる「ヒラメ」というヘッドが何やら最高に良いらしいとわかりました。

KUWAHARA BIKEWORKS というメーカーが製造していて、職人さんが手作りしているものなのだとか。

というわけで注文したヘッドが届きました。


プラスチック製のヘッドが多い中、金属の質感がプロっぽくて美しい。適度な重量というのも使用感を盛り上げてくれます。
使うたびに嬉しくなりますね。
機能美というのはやはりデザインの基本なのだと改めて感じます。

さて使用感ですが、ポンプヘッドをバルブに差し混む時に、これで良いの?というくらい簡単にセットでき、チューブにストレスを与えないので安心。
もちろん空気も入れやすい。

プロの現場で使われるものですが、フレンチバルブ初心者にこそ絶対コレがオススメ。
ポンプをまるごと買い替えられる価格ですが納得の製品。

もっと早くに出会いたかった一品です。

2015年11月23日月曜日

ここでは見納め。

渋谷のポスターハリスギャラリーが閉鎖してしまうそうです。

これまでアングラ演劇ポスターの企画展を行っていたギャラリーだけに、閉館が惜しまれますが、ギャラリーのあるビルの老朽化による建て替えということだそうで、ビルがなくなることも含め二重の打撃。

ギャラリーでは現在クロージング企画「ジャパン・アヴァンギャルドーアングラ演劇傑作ポスター展」が開催中なので行ってきました


アングラ演劇ポスター100点を3期に分けて展示する企画で、現在の第2期は劇団状況劇場のポスターを集めた展示。(12/6まで)

このアングラ演劇ポスターは、5月に渋谷ヒカリエホールで開催された「現代演劇ポスター展-演劇の記憶、時代の記憶、都市の記憶-」でも多くを見ているのですが、今回は劇団ごとのくくりで展示されるので、同じものがあってもまた見え方が変わり新鮮な鑑賞となりました。

とても小さいギャラリーで一回の展示も30点ほどですが見応えありの企画展でした。
500円のチケットで会期中は何度でも入場可能。しかも12/9からの第3期は天井棧敷
天井棧敷のポスターには横尾忠則、宇野亜喜良、粟津潔などなどが関わっているのでなんとしても行かねばなりません。


>>このブログで触れたこれまでのアングラポスター系の記事

2015年11月22日日曜日

秋の彩り一盛りで。

秋になって色とりどりの野菜が多く並ぶので、うれしくなってつい買い過ぎてしまいます。
にぎやかな彩りがキレイなので、すべて一盛りにできるソテーを作りました。

野菜はズッキーニ、ニンジン、レンコン、シメジ、マッシュルーム、ミョウガ、ムカゴ、マイクロトマト、ミブナの9種。

熱が通りにくいものは薄くカット、生でも食べられるマッシュルームはコロンとした切り方で焼き目がつく程度に軽くなど少しだけ考えながら野菜を焼いたら取り出して肉を焼き、最後にソースを。

バルサミコベースですが醤油を加えて少しだけ和風テイストに。

たまたま安く手に入ったマイクロトマトが見た目にも味にもアクセントになりました。

器は明治伊万里の錦手六寸皿。
さらに賑やかでおめでたい感じになりました。

<いろいろ野菜と塩豚のソテー>
野菜は火の通りを考えてカット、ニンニクの香りを移したオリーブオイルでソテーして取り出す。塩豚も焼いて取り出し野菜とともに器に盛っておく。
バター、バルサミコ、醤油、ハチミツでソースを作り回しかけ、コショウをひき、マイクロトマト、青菜を飾る。

2015年11月19日木曜日

南米の古代食。

少し前ですが、旅先の和食やさんでキヌアをはじめて食べました。

はじめなんだかわからず、球状の本体の周囲に根のようなものが巻かれている形状からトンブリ?とも思いましたが、トンブリはアカザ科、キヌアはアカザ亜 科で、いずれもほうれん草の仲間という近い関係の雑穀なのだそうです。
どちらも栄養価が高いのですが、キヌアは植物性食品の中で唯一すべての種類のアミノ酸が含まれていると聞くととても「偉い」ものに思えます。

乾物なので日持ちが良いのでさっそくお試し購入。

生トンブリの歯ごたえには負けますが、色が白いので何にでも合わせやすい点ではキヌアの方が使いやすいでしょうか。

乾燥キヌアはそのまま茹でてニンジンに和えてみました。
見た目の変化と食感が楽しいですね。

<キヌア入りニンジンのお浸し>
キヌアは15分ほど茹ででザルにあげておき、極細の千切りにしたニンジン、細く割いたシメジを、出汁、みりん、醤油でごく軽く煮て冷ます。
煮汁以外をボウルに取りキヌアと軽く和えたら器に盛り、白ゴマ、小口切りした青ネギの葉先の細いところを散らす。

2015年11月17日火曜日

短縮の謎解明か。

完成まで300年とも言われていたサグラダ・ファミリア(Sa­grada Familia)が、2026年に完成予定という発表があり、CGによる完成予想動画が公開されたのが、2013年の10月。
その時からなぜそんなに工期が早まったのか謎でしたが、この映画「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」で解明されそうですね。(12/12から公開)

楽しみです。



こちらが完成予想の3DCG。
この映像を見る限り、まだまだ完成しそうにありませんね。
(当時ブログに紹介したつもりでしたが、記事が見つかりませんでした。)



2015年11月9日月曜日

奇跡の造形とテクノロジー。

21_21DESIGN SIGHTで企画展「建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”」が開催中。(2016/2/7まで)


グッゲンハイム美術館のアネックスであるビルバオの建築家として有名なフランク・ゲーリーの、ユニークな造形が生まれる過程を紹介する大規模な展覧会です。

この展覧会の見どころのひとつが近年のプロジェクトであるル・ルボ脳研究所、エイト・スプルース・ストリート、シドニー工科大学/ドクター・チャウ・チャク・ウィング棟、Facebook本社/西キャンパス、などの制作プロセスをスケッチと模型、竣工写真で展示したメイン会場。

様々な思考から、制作しては変更を繰り返される模型によるスタディは、表面的に感じられることもあるゲーリー建築の空間意識の深さにも迫るものです。


もうひとつがゲーリー建築の形態を実現するテクノロジーの紹介映像。
航空機の設計などに用いられるダッソー・システムズ社のCATIAをベースにして、共同開発されたGehry Technologies社(ゲーリー・テクノロジー社)の「Digital Project」を用いた設計プロセスの紹介映像ですが、専門的になりすぎない適度な解説を交えた感覚的な映像で、こちらはUI(user interface:ユーザインタフェイス) の開発にも携わるビジュアルスタジオのWOWが制作。

建築家の展覧会では、つい最近「オスカー・ニーマイヤー展(会期終了/東京都現代美術館/会場構成:SANAA)」がとっても期待外れで警戒していましたが、大満足な内容。
建築家の展覧会はこうあるべきという、ひとつのモデルのような展覧会でした。

建築系、空間系を学んでいる学生さん必見の展覧会です。


表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京では「フランク・ゲーリー/ Frank Gehry パリ - フォンダシオン ルイ・ヴィトン 建築展」開催中との情報がありました。
こちらも見に行かねばなりませんね。

2015年11月6日金曜日

八丈島/ダイビング

水中用の新しいカメラを抱えて秋の八丈島へ。
夏から逸れていた黒潮がやっと近づいてきて、少しは水温が上がってきた様子。
そうは言っても気温はやっぱり秋。
水中よりも陸上の方が寒いという状態です。

潮が安定していなく潜れるポイントが限られましたが、ゆったりマクロで楽しめました。
今回初使いのLUMIX DMC-GX7も快調。
これまでのコンデジに比べ、タイムラグが極端に短いのでシャッターチャンスを捉えやすくなりました。

悔しいですが高価な器材はそれなりに結果を出してくれますね。

Panasonic LUMIX DMC-GX7/INON D-2000 1灯 STTLモード/絞り:f1/8 シャッタースピード:1/320
クマドリカエルアンコウの幼魚.クマノミの幼魚.イソギンチャクモエビなど

2015年10月31日土曜日

水中機種変。

長年水中で使用していたカメラを買い換えました。
なんとマイクロ一眼(ミラーレス一眼)です。

2011年にダイビングショップのレンタルでマイクロ一眼をはじめて使ってから、その写りの良さと操作性に惚れ込み、この夏のダイビングで再度悩んだところ、候補のモデルが世代交代で品薄になりそうだったので即決心し、「Panasonic LUMIX DMC-GX7」を購入。


コンデジである「RICOH CAPLIO GX100」よりはかなり大きくなりますが、一眼よりはコンパクト。
水中で使用する「LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8」も、地上でも描写力の高いマイクロ撮影ができるので期待大です。

今後は「RICOH CAPLIO GX100」は地上専用に。
デジカメのラインナップもいろいろ使い分けができそうになってきました。

2015年10月23日金曜日

秋の山の恵み。

ほぼ定例開催となっている「きのこ狩り」。
例年は9月でしたが今年はメンバーの都合で初の10月開催でした。
山はすっかり紅葉していて、いつもの山がまったく違う景色になっていました。
きのこは美味しいし、紅葉は綺麗だし言うことなしでした。


きのこはクリタケとムキタケがメイン。
特にムキタケは群生するので大猟。
持ち帰ったムキタケはしっかり洗って冷凍保存。

少しずつ楽しみたいと思います。


<ムキタケと豚肉の卵とじ>
フライパンで豚肉を炒め、ネギ、ムキタケを入れ、出汁、砂糖、醤油で炒め煮にする。具材に火が通ったら溶き卵を加えて蓋をして火を止める。卵が少し固まったくらいで、器に盛り、コショウを挽いて青ネギの小口切りを振る。

紅葉を見下ろす。

今年は紅葉がとてもきれいなのだとか。
夏の暑さとか秋の朝晩の寒暖差とか様々な要因が色づきを決定づけるようですね。

自然の現象なのでなかなかタイミングが合わず、見渡す限りの紅葉というのはなかなか見た記憶がないのですが、たまたま別の目的で出かけた先で紅葉がピークでした。
この時期だけスキー用のゴンドラが運転していたので、上からの紅葉が楽しめました。

晴天でしたので若干露出をアンダーに補正して、明るくなりすぎないように撮影しました。ゴンドラの窓越しなので映り込みがないように、レンズをガラスにくっつけたり、レンズ周りを覆って反射を抑えたりすると比較的きれいに撮れますね。

2015年10月21日水曜日

軽い焼きもの。

6月から9月が旬の大葉もそろそろ終わり。
年間を通して流通はしますが、袋詰めやパックごとの大量安売りはそろそろ見かけなくなりそう。

薬味など生食のイメージの強い大葉は、焦げにくく油との相性も良いので、積極的に加熱調理に使いたいですね。

焼き鳥屋さんのメニューによくある鶏ささみの大葉巻きも、下味をつけてから大葉で巻けばしっとり軽い食感に。
フライパンで簡単に調理できます。


<鶏ささみの大葉巻き焼き>
鶏ささみは筋を取り、巻きやすい大きさにカットし、片栗粉、酒、塩、ゴマ油でよく和え冷蔵庫で15分から30分ほど寝かせておく。
よく洗って水気を切った大葉で下味をつけた鶏ささみを乗せ、味噌を少々のせて巻き、フライパンで焼く。

2015年10月11日日曜日

ドーム屋根の美術館

秋晴れの中、八ヶ岳方面へ行ったついでに建築家村野藤吾が晩年に設計した「八ヶ岳美術館」を訪ねてきました。
この夏に目黒区美術館で開催された「村野藤吾の建築-模型が語る豊饒な世界」にも模型が展示されていた建築物です。


カラマツ林の中に建てられたこの小さな美術館は、彫刻家である清水多嘉示の作品展示のために建てられたもので、カラマツ林の中にできるだけ小さい面積でまとめ、彫刻がぐるりと回って鑑賞できるよう、連続したドーム型の空間が作られているのが特徴です。
村立の美術館という予算規模で、経費や工期などに様々な工夫がされた建物には、結局大きな建築物も人が感じることのできる空間の連続なのだと納得させられるものでした。

2015年9月22日火曜日

極上のキメ。

バターナッツは栗かぼちゃに比べ細くで小さいように感じますが、ひょうたん型の下の部分にしか種がないので、実はしっかり果肉があり、食べ応えがあります。
キメが細かいのでスープ向き。
ということでポタージュに。


<バターナッツのポタージュ>
細かく刻んだ玉ねぎはバターで透き通るくらいまで炒めるたら、皮を剥き刻んだバターナッツ、水、コンソメを加え柔らかく煮る。
ミキサーで撹拌したらザルなどで濾し、鍋に移して温めながら牛乳を加えて伸ばし、塩で味を整えたら、器に盛ってコショウを振る。

2015年9月15日火曜日

ひょうたん型の上と下

最近よく見るようになったひょうたん型のカボチャ「バターナッツ」
南アメリカ大陸が原産のカボチャですが、日本での栽培が増えているようで価格が安定してきたように思います。

実は調理するのははじめて。
上の首の部分より種の周囲の方が水分が少なくねっとりしているようです。

たまたま手に入った沖縄野菜の苦菜(ンジャナ)と一緒に胡麻和えに。
甘みが強くとてもコクのある味わいでした。



<苦菜とバターナッツの胡麻和え>
バターナッツは皮を剥き細切りにし電子レンジで固さが残る程度に加熱。
すりゴマ、練りゴマ、砂糖、醤油を合わせ、細切りにした苦菜とバターナッツを和える。

2015年9月13日日曜日

蓮のある図書館。

村野建築の探索でルーテル神学校へ行ったついでに、すぐ隣にある国際基督教大学(ICU)へ。
アントニン・レーモンド氏が設計した図書館を見てきました。

敷地から掘り下げられた土地に建てられているので、3階建てでも低く感じられます。
緩やかなスロープが作られたファサードの庇が印象的です。

2015年9月11日金曜日

宗教施設とデザイン。

ルーテル学院大学はもとはキリスト教プロテスタントの牧師さんを養成する学校ですから、当然ながらメインの施設に礼拝堂があります。

自身も晩年には洗礼を受けてクリスチャンとなった村野藤吾氏ですから、教会施設の設計には格別な思いがあったことでしょう。

多くの教会施設がそうであるように、比較的狭い開口部が外界と礼拝堂内を隔絶し、高い天井と採光に圧倒される空間となっていました。
細い手摺り、採光窓、照明器具などのディテールが繊細でとても美しいです。


2015年9月10日木曜日

宗教的な暗さは重さ。

目黒区美術館で開催中の「村野藤吾の建築-模型が語る豊饒な世界」を先日見て、模型の楽しさも感じつつ、さて実際はどのような建築物で、どんなディテールや空間なのかを見て感じたくなり、手始めに比較的近い三鷹市にある「ルーテル神学校(ルーテル学院大学)」に行ってみました。

1969年竣工の建物外壁は樹脂を混入させたモルタルスタッコという粗い肌の仕上げで統一され、図版等の写真では陰影のある重厚で荘厳な外観が中世の修道院のような印象でもありました。

閑静な住宅街を抜けて突然現れたキャンパスは、昨年からの大規模な改修工事でピカピカ。
チャペルを含む本館は塗装がし直されて妙なツヤ感があり、緑の芝生にタイル敷きの通路が作られ、脇にはテニスやフットサル用のマルチコートが作られています。

福祉系の学科新設等による明るいイメージ作りなのでしょうが、宗教施設独特の重々しさが半減していてちょっと残念でしたが、それでも基本的な造形はそのままなのでとても魅力的な建物でした。
この時点ではまだ裏側や研究室棟は怪しい雰囲気が残っていたので良かったです。

2015年9月8日火曜日

ギャングの皮。

和歌山の「うつぼの揚げ煮」が手に入りました。

そのまま食べても美味しいのですが、ちょうどミョウガの甘酢漬けを作ったばかりなので、漬け酢を利用して京都の鱧皮のイメージでウツボ入りの酢の物を作ってみました。

軽く塩もみしたゴーヤーもいい感じです。


<ウツボの酢の物>
うつぼの揚げ煮はミョウガの甘酢漬けの漬け酢に半日ほど漬けておく。ゴーヤーは薄切りして塩もみし、水洗いしておく。
ゴーヤーとウツボを和え、ミョウガを添える。

>>うつぼの揚げ煮を紹介した過去のブログ

2015年9月4日金曜日

食物と化学。

大量のミョウガをいただきました。
ヒノキに似た独特の香りが食欲を促進してくれるので、煮物や焼き物にとても重宝。

体温を下げる効果もあるので、湿気で熱がこもるような気候には最適ですね。
あまり日持ちしないので、少量を残して甘酢漬けに。

植物色素のアントシアンが反応して綺麗なマゼンタになるのは、赤シソジュースと同じです。
紅葉もアントシアンですね。

アントシアンとアントシアニン。
色素の総称としてはアントシアンが一般的で、物質の成分的にはアントシアニジンという成分が糖と結合したアントシアニンを用いるようです。
なんだかよくわからなくなってきましたが、単純に色の変化は実験みたいで楽しいです。

2015年8月30日日曜日

スケールの利点。

本来はグラフィック系な思考なはずなのですが、なぜか建築物を見るのが好きで、旅先ではついつい建築めぐりになってしまいます。

外観だけでなくディテールに惹かれたり、内部空間に惹かれたり、物件によって様々。
専門分野でない気楽さがあるのでしょうか。

目黒区美術館で開催されている「村野藤吾の建築-模型が語る豊饒な世界」が9/13までなので、慌てて行ってきました。

建築家の村野藤吾 氏は戦前から戦後にかけての日本の建築界で活躍した建築家の一人で、近代的な構造の建築物に優雅な装飾性を加えた独特の意匠設計の建築物を多く残しています。

模型の展示を見て、現物が見たい!!!という感想はもちろんありますが、この角度は模型でしか見られない!!!という貴重な体験でした。

模型に特化した展覧会というのがユニークで、建築、インテリアに限らない奥深さがある展覧会でした。

ごく一部のコーナーのみ撮影可でした。

2015年8月29日土曜日

これで見納め。

いよいよ見納めとなるホテルオークラの本館。
前回は日中だったので、夕景のライトアップをどうしても見たくてスケジュールを調整。
ぎりぎりで行ってきました。

ロビーは開演直前のコンサートホールのような賑わい。
NHKの定点カメラがあちこちに設置され、TVクルーも出動という状態。
ボーイさんもはじめての体験と言うくらいの賑わいで、宿泊客の方々には落ち着かない滞在になってしまい申し訳ないですが、この建物や意匠がなくなるというのは、やはり残念でなりません。

1962年の開業から53年。
2019年に建て替えで開業する予定の新しい建物は、地上38階のタワーホテル。

もしそこから50年ほど経った2070年頃に建て替えとなった時、多くの人が惜しむようなデザインになるのか。
メインロビーは、日本の伝統的な図柄を凝らした現在のオークラの意匠を継承したものに生まれ変わるということですが、現在のデザインは外装や建物のデザインとマッチしたもので、果たして近代的なビル形式のホテルとなった時にどうなるのか。

そんなことを考えながら写真に記録していました。

2015年8月7日金曜日

夏は緑。

夏を代表する野菜は果菜が多いため、色彩も華やかで元気が出ます。
濃い緑色の皮で果実が薄緑なズッキーニ。

免疫力を強化するβカロテンの含有率が高い上、カリウム、マグネシウム、マンガン、ビタミンK等あまり野菜には含まれない微量栄養素を含有。

油と一緒で吸収率をアップし、夏バテ対策です。

エビとソテーして大葉で作ったジェノベーゼ風ソースをからめました。
大葉も高栄養価の夏を代表する野菜です。

<ズッキーニとエビの大葉ジェノベーゼソース>
剥いたエビは片栗粉、ごま油、酒、塩をもみ込んで下味をつけておく。
ズッキーニは軽く小麦粉を振り、エビと一緒にソテーし、ソースをからめる。

2015年8月6日木曜日

次世代まで。

少し前の古新聞を整理していて旧国立競技場の聖火台の記事を発見。
宮城県石巻市の総合運動公園に復興のシンボルというとして貸し出され据えられ、このあと希望のある東北の施設を巡回して、最終的には新国立美術館に戻す案が挙がっているそうです。
火を灯しているのはハンマー投げの室伏広治選手。

この聖火台は、東京オリンピックの前に開催された第3回アジア競技大会(1958年/昭和33年)にあわせて作られたもので、鋳物 でできていて、高さ2.1m、直径2.1m、重さ2.6t。

製作者が毎年オリンピックの開会式があった10月10日前後に磨き続け次世代に引き継ぎ、2009年からは室伏広治選手も聖火台磨きに参加しているのだそうです。
製作から50年以上経ってもなお使い続けるという発想がいいですね。

2015年8月4日火曜日

夏休み気分で

積極的な昆虫採集はしばらくしていませんが、稀に道端で拾ったり旅先でたまたま手づかみして捕まえたりするので、毎年なんとなく標本作りは続いています。

整型した昆虫は一般的には1ヶ月ほどの自然乾燥で完成ということになっていますが、湿気が多くてチョウなどは翅が下がったりするので、基本的には乾燥している冬場に標本箱に移したいと思ってはいます。
まあ結局は忘れてしまって1年経ってしまったりするのですが。

今年も新しいコガネムシの展足をするために1年経った整型中の昆虫たちを標本箱へ移動。
この作業をしているととても夏らしさを感じます。


今シーズンはどのくらい標本が増えるでしょうか。

2015年8月2日日曜日

色と時間。

デザイン学校は 先週からほぼ夏休み。
学生さんにとっては、まだまだ講習会や特別講義やら継続した制作やプロジェクトもあって、なかなか「休み」ではないかもしれませんが、通常授業のないこの時期だからできることに取り組んでほしいですね。

デザインの学習で必須な色彩。
理論的な学習である反面、視覚的に体験しなければ理解しづらい部分も多くあります。

色を混ぜる混色も比較的馴染みのある絵の具による「減法混色(減算混合)」だけでなく、光による「加法混色(加算混合)」や瞬時に複数の色が変化することで混色される「継時法混色」、小さな柄模様を遠くから見ることで混色されたように見える「併置加法混色」など様々。

授業では簡単な手作り教材で「継時法混色」を視覚体験。
赤、青、黄色に分割彩色された円盤に軸をつけてコマを作り、回すことで継時法混色が視覚体験できます。


このコマで継時加法混色を視覚体験するという発想で、モダンデザイン教育を行ったバウハウスで1924年に講師をしていたルートヴィヒ・ヒルシュフェルト=マック(Ludwig Hirschfeld-Mack)氏が製作した木製コマが、1977年よりNaef社より「バウハウス・カラーコマ(naef Bauhaus Optischer Farbmischer)」として復刻されています。


このカラーカードは「ゲーテの色彩論に基づく色の構成」「レンブラントの光と影の配分」「ショーペンハウアーの芸術論に基づく色の構成」などに基づいた配色が施されています。

2015年8月1日土曜日

思考のプロセス。

6/13までギャラリー間で開催されていた「藤本壮介展 未来の未来」展のレビューです。


100点あまりの建築模型が展示された空間は、試行錯誤の過程であるスタディ模型も多く、それらの斬新な形態発見のプロセスを一部分ですが知ることができました。

建築という分野に限らず、立体でも平面でも何かの造形表現の過程には、自分が刺激を受けるための試作の繰り返しが重要で、美しい造形とか、心地良い造形とかの試行錯誤には、何を作るという目的から必ずしもスタートしなくて良いということを実践しているように感じます。


建築系の展覧会では理解を求められる考えさせられる展示が多いのですが、直感的というか感覚的な鑑賞が許されるような展覧会でした。

※TOTOギャラリー・間では現在「フィールドオフィス・アーキテクツ展」が開催中。(9/12まで)

2015年7月31日金曜日

初夏の幻。

5月の下旬に湯沢へ行った際に仕入れて食べた国産のニンニクの芽。
その時のみずみずしさが忘れられず、その後も国産ものを探しているのですが、どうやら限られた地域、季節だけの貴重なものだったようです。

ニンニクの芽は花を咲かせるために伸びた花茎という部分で、球根に栄養が貯められるように花を咲かせる前に刈り取った部分。

スーパーなどで売られているものや、飲食店のものはほとんどが中国産で、茎を収穫するために品種改良され、通年収穫されるもの。
一方、国産ニンニクで多く流通しているニンニクからは芽がのびづらい品種で食用にはならず、ごく限られた地域で栽培されている品種だけからしかニンニクの芽は収穫されず絶対量が少ない上、5月〜6月上旬だけに収穫される希少品なのでした。

たまたま出会えれば食べられるという幻の野菜なのですね。
果物には季節感を感じますが、野菜も本来はもっと旬があるはず。
その時期だけと聞くと自然から栄養をいただいているということをひしひしと感じます。

<ニンニクの芽とモヤシのナムル>

2015年7月30日木曜日

半透明薄緑の箱内。

少し前になりますが、静岡の長泉にある「紙の資料館 特殊製紙総合技術研究所 Pam」に行ってきました。

この施設は製紙メーカーえある特種東海製紙のショールーム的な存在の施設で、名称のPamは「Paper and Material」の頭文字から付けられています。
2002年に竣工。建築家の坂茂氏の設計で、2003年のGOOD DESIGN AWARD(グッドデザイン賞/建築・環境デザイン部門-建築デザイン)を受賞。
ディレクターが豪華(田中一光、坂茂、小池一子が参加)なことも注目でした。

以前から気になっていた建物。
ちょうど興味深い企画展だったので、ちょっと離れていますが思い切って行ってみました。

鉄骨に半透明の淡い緑のFRPのサンドイッチパネルが建物の外壁全体に使われ、アトリウムの天井部分は白テント。開放的で悪天候にもかかわらず室内の暗さは感じず全体に明るい快適な空間でした。



あいにく静岡地方は集中豪雨で外観の撮影ができなかったのが残念。

企画展は「原弘と日本のタイポグラフィ五十年展」が開催中。(〜8/7まで※予約制)


日本タイポグラフィ協会が所蔵する資料は原弘作品以外は実際に手に取れます。
JRやグリコのCIマニュアルが見られたので大満足の展示でした。

学生さんにこそ見てほしいのですが、研修旅行でもなければ難しいですかね。

2015年7月29日水曜日

デザインと改修

4月の宇都宮&日光訪問で撮影した写真をやっと整理しました。
ラストは日光金谷ホテルです。

現存する日本最古のリゾートホテルで、2005年登録有形文化財に登録された建物は、本館の1階部分の円柱をはじめ、館内のいたるところに見られる大谷石が見事なデザインで、そのほかにも至る所に見られる彫刻などで飾られた空間が素晴らしい。

この1階部分は、もともと建っていた建物の地下部分を掘り下げて増築された部分なのだそうですが、たしか箱根の富士屋ホテルも同じように1階部分は地下を掘り下げた作りだったはず。
富士屋ホテルの方は裏側は2階部分が地上という地形で1階部分は建物の手前だけですが、金谷ホテルは建物全ての部分に1階があるようなので、いったいどうなっているのか疑問です。
基礎の上に土台が乗るという日本の木造建築特有の技術なのかもしれません。
機会があったら建築の先生に聞いてみたいですね。

この日光金谷ホテルは2006年には耐震改修工事が実施されました。
この改修では文化財的価値を損なわないよう、極力改修量を抑え、既存の空間に違和感を与えない補強がされたのだそうです。
確かに全体に綺麗になっていますが、改修によるデザイン的な違和感はまったく感じませんでした。

現代のデザインで建て替える建造物が多い中、少し不便であっても手を加えながら使い続けていく施設がこれからも残ってほしいですね。



これまでの宇都宮&日光の記事
>>宇都宮の大谷資料館
>>宇都宮市今市浄水場
>>JR日光駅の駅舎
>>旧イタリア大使館別荘
>>日光真光教会

2015年7月28日火曜日

日光で教会。

4月の宇都宮&日光の写真をはじめ、整理中の写真が多くてアップできていないものがたくさんあります。
少しずつアップしていきたいと思っています。

日光の朱塗りの神橋の先の大通り沿いにある「日光真光教会」
1916年(大正5年)に建てられた石積みの教会。
アメリカの宣教師であり建築家のJ.M.ガーディナーの設計。

こじんまりとした教会ですが、黒い石の表情が宗教建築らしくとても厳かです。
中から見られるステンドグラスもとても美しいもので、特にバラ窓は色のにじみを使う日本ではとても珍しい技法なのだそうです。

観光バスも多く通り土産物屋の立ち並ぶ大通りですが、まったく観光客のいない静かで良い教会です。

2015年7月27日月曜日

2015年7月26日日曜日

コマで割ってみた。

2020年の東京オリンピックエンブレムの映像があまりに楽しいので、どうなっているのか見たくなり、「TOKYO」の文字が現れる80秒ほどをフレーム分割してスクリーンショットで撮ってみました。

面白いです。


2015年7月25日土曜日

Tからはじまる

2020年の東京オリンピックのエンブレムが公式に発表され各所で話題です。

アートディレクターの佐野研二郎さんのデザインで、モチーフは「TOKYO」「TEAM」「TOMORROW」の「T」だそうです。

このところ手描き風というか比較的自由な形態やタッチのデザインが多かったせいか、設計的で古っぽい感じのデザインがちょっと気に入っています。特にコンセプト映像のマーク展開部分はかなり好き。



まったく関係ないですが、いつから「シンボルマーク」という呼称ではなく「エンブレム」と言うようになったのでしょうね。

このイベントでの様々なデザインがどうなるのかとても楽しみです。

2015年7月24日金曜日

日本のモダニズム/その3

8月末で建て替えのため見られなくなってしまうホテル・オークラ本館。

メインロビー周辺にはまだまだ見所がありました。

SEIKOの世界時計。
下部にある都市名のボタンを押すと世界地図上にランプが点き、中央の電光掲示板にその都市の現在時刻が表示されます。
この電光掲示板の淵は豪華な螺鈿細工です。

客室用エレベーターのカーペット模様や消火栓の非常赤ランプなどにも素敵なデザインが多くありました。

日本モダニズムデザインの宝庫がなくなってしまうなんてもったいないですね。



2015年7月20日月曜日

日本のモダニズム/その2

建築家の谷口吉郎が設計したホテル・オークラのメインロビーは、国際的にもとても評価の高いオークラ・ランタンのある美しい空間。

随所のデザインは日本の伝統紋様ですが、ホテルの様式と融合されたすばらしい日本モダニズムを形成しています。

ロビーの大きな窓には麻の葉模様の杉細工が障子越しに差し込む光をさらに柔らかくしています。

梅型に配置されたソファも見事。


2015年7月17日金曜日

日本のモダニズム/その1

今年の8月で閉館建て替えとなってしまうホテル・オークラ本館。
「日本的建築美の創造」をテーマとして建てられ国際的に評価の高いデザインを記録しに行ってきました。

外観の設計は建築家の小坂秀雄、ロビーの設計は設計委員会委員長を務めた谷口吉郎。

各所に見られる日本の紋様が見事です。

外壁には民家や土蔵に見られる海鼠(なまこ)壁のデザイン。
平瓦を貼り詰め、本来漆喰を盛る目地には白磁タイルを貼り込んでいる。

ファサードの庇は三角形が連続する金箔の鱗紋を象った金タイル貼り、車寄に面した1階の外壁は菱紋の格子が建物の表面に表情を出しています。

建物の側面の平坦になりがちな面にも、厚さの異なる同色タイルで表情豊かなデザインが見られます。

ホテル・オークラの公式ホームページでは9月より建て替え開始となっていますが、営業停止日は発表されていないようです。
まだ見ていない学生さんは夏休み中にぜひ見学に行ってください。

2015年7月10日金曜日

映画用フィルムの写真

早稲田大学會津八一記念博物館で開催中の「写真家としてのル・コルビュジエ」展 (Le Corbusier as a Photographer) に行ってきました。(8/2まで)


建築家コルビュジェが多くの絵画を残していたことは有名ですが、写真を多く撮影していたとは知りませんでした。
しかも映画用の16mmフィルムに記録されているというのですから驚きです。

空間的思考の道具として撮影されたという350枚もの写真が一堂に並んだ空間から、コルビュジェの思考を感じ取ろうと思いましたが、純粋に写真に見入ってしまいました

会場となっている早稲田大学會津八一記念博物館(旧大学図書館:1925年)は早稲田大学出身の建築家である今井兼次のデビュー作。
現在は出入りできませんが正面の大階段を上った大扉の八角星の透かし彫りなど見応えありです。

2015年6月9日火曜日

これからのデザイン。

LIXILギャラリー2で開催中の「伊東豊雄展 ライフスタイルを変えよう -大三島を日本で一番住みたい島にするために-」の展覧会レビューです。
(8/22まで)


建築系の展覧会ですが、建物がメインではなく瀬戸内海に浮かぶ大三島という環境に注目したプロジェクト。

この大三島は「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」が2011年に開館した島で、伊東氏が美術館の開館をきっかけに島の一番の問題である人口減と高齢化に直面し、未来の島の生活の危機を建築的なアプローチで取り組んでいるのだそうです。

目立つ箱だけつくってしまって、出来た後は維持管理が財政を圧迫するという問題が多く取りざたされる中、形ではなくそこにいる人とこれから住まうべき人、そこに訪れる人という生活から環境つくりを考えようという進行中のプロジェクトは、未来のデザインのあるべきカタチのひとつだと予感させるものでした。

2015年6月6日土曜日

継承のデザイン

LIXILギャラリー1では「金沢の町家‐活きている家作職人の技‐展」が開催中。(8/22まで)


日本の伝統的な建物のひとつである町家が多く残る金沢で、その建物を維持し続けるための職人さんの技術とその継承への取り組みを紹介する展覧会。

大工技術の紹介コーナーでは「木組み」の見本がありました。
釘や金物などに頼らずに、木に切り込みなどを施してはめ合わせる技術で継ぎ手、仕口とよばれる技法。
とても複雑ですが組み上がりはとても美しく、木材の変形・被衝撃に対しても強いのだそうです。

実際に触って組んでみられるのですが、よくこんな複雑な形状に加工するものだと感心です。


けっして派手な展覧会ではありませんが、新しくつくり直すのではなく修理しながら100年以上使い続けるという考え方自体も継承していきたいと思わせる展覧会でした。

2015年5月29日金曜日

山の水を含んだ野菜。

栽培物のウドは強いアクをなくして食べやすくするために日光にあてず白く軟化させて栽培した軟白ウドがほとんど。
緑がかった山ウドも軟白栽培に日光をあてたものなので天然ものとはまったく別物です。

たいした下処理いらずの栽培ものと違い、天然ものは皮のスジが堅いので皮を剝きますが、この際に強いアクで手が真っ黒になり、洗ってもなかなか落ちず意外と頑固。

それでも皮を剝くと堅く感じたヤマウドがとてもみずみずしいので、うれしくなります。

色のキレイさ、みずみずしさを活かしてまずは生食。
短冊切りにして酢水でアク抜き。
ウド料理でもっともポピュラーな酢みそあえにしました。

中まで薄い緑色をしていて独特の苦みと香りがたまりません。


2015年5月28日木曜日

山の天ぷらとイタリアの水

山から持ち帰ったヤマウド

日常的にはめったに揚げ物はしないのですが、せっかくの素材ですからここは張り切って天ぷらに。

天ぷらでは日本の天然水や水道水などの軟水よりも、ミネラルの多い硬水の方がサクサクに仕上がるという研究が日本調理科学会によって発表されていて、しかも炭酸水を使うとカラッと揚がるという情報もあったので冷蔵庫のS.PELLEGRINO(サンペレグリノ)を使用。
炭酸がきついと油はねが強くなるのだそうですが、サンペレは炭酸が弱いので大丈夫でしょう。

水のおかげで久しぶりの揚げ物でもサクッと仕上がりました。