2013年1月31日木曜日

技術は見せない

写真と映像のジャンルで将来性のある作家を発掘することを目的に東京都写真美術館ではこれまでも新進作家展が開催されてきました。先日終了した「この世界とわたしのどこか」はその11回目。
その中でちょっと面白い作品がありました。

ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アート出身の写真家である大塚千野さんの〈ダブル・セルフ・ポートレイト〉。(フライヤーのメイン写真はその1枚)

どこにでもある大人の女性と女の子のスナップに見えるこの写真。作家の子どもの頃のスナップ写真と現在の作家のデジタル合成写真なのですが、その表現力がものすごい。

仕組まれた写真の中には確実に20数年経ったはずの2人の同一人物が、「会話し、時間を共有し、生活している一瞬を捉えた」ーように見えます。

はじめは親子等の普通のスナップ写真だと思っていたものが、20数年経った同一人物の写真だと知ると、普通は「ああ合成なのね」と冷めてしまうのですが、この写真ではタイムスリップが現実であるかのように錯覚させる力があります。

デジタルで再構成することが当たり前になっている現在の写真表現でこれほど感心させられたのは、この写真がものすごい技術がありながらも「技術」を感じさせないからなのだと思いました。

会場では2人の写るスナップ写真から1人ずつがフェードイン、フェードアウトする動画が上映されていました。ちょっとフェードする時間が長過ぎる気はしましたが、大人だけ、こどもだけのそれぞれで、風景は変わらないのに「時間(時代)」が変化して感じられるような不思議な感覚があり面白い体験でした。

ちょっと注目の新人写真家です。

2013年1月30日水曜日

硬派な写真


1/27まで東京都写真美術館で開催されていた「北井一夫 いつか見た風景」のレビューです。

日本のドキュメンタリー写真家の第一人者的存在で、新人写真家を対象とした「写真界の芥川賞」と言われる木村伊兵衛写真賞の第1回目の受賞者です。成田空港建設に反対する住民や学生運動を内部から捉えたルポルタージュ的作品が多く、その写真からはニュース知識として知っている事実とは異なった風景が表現されています。

湿気や高温などの悪条件の環境に晒してフィルムを敢えて傷つけたりするなどドキュメンタリー写真に見られないディテールにも拘ったモノクローム写真が並ぶ展覧会場は、硬派でありながらも写真表現の芸術性を感じさせるものとなっていました。

2013年1月29日火曜日

全部入れてただ煮込む。


「とても美味しいから作ってみて」と、「肉骨茶(バクテー)」の素をいただきました。

肉骨茶はシンガポール料理(マレーシア料理)でスペアリブをニンニクと香辛料で煮込んだ料理で、使われる香辛料はシナモン、スターアニス、クローブ、黒こしょう、陳皮などが主流。このブレンドは料理店や家庭で様々にアレンジされていてレシピは様々なようです。

いろいろ試してこの「素」が最高に美味しいということですが、日本では売っていないそうです。とても貴重品です。

スペアリブを湯通ししてアクを取ったあと、たっぷりの水に皮のままのニンニク、肉骨茶の素、醤油少々を入れ、スペアリブを1時間ほどじっくり煮込みます。

これだけシンプルなレシピで何故これまで?と思うほど深い味で驚き。
インディカ米があればいいのでしょうが、さすがにそこまで用意できず、ショウガのみじん切りと鶏ガラスープでお米を炊きました。これはこれでアジア料理に向いていて美味しいです。

2013年1月28日月曜日

真剣勝負。


デザイン学校の卒業制作プレゼンテーションが終了しました。
グラフィックデザイン専攻の今年度のテーマは「夢見るデザイン」。デザインが人々を幸せにすることを、制作する学生さん達自身にも感じて欲しいと願ったテーマです。

デザインの成果物だけでなく、企画やデザインコンセプトを効果的で印象的に伝えるためのプレゼン力も評価ポイントになりますから、シナリオや効果音、コスチューム、配布物などにも拘りが見られます。
発表する学生さん達も真剣ですが、評価する講師陣も真剣。
全員のプレゼンが終わっての総評には熱が入ります。

今回は例年以上に企画のバリエーションが豊富だった卒業制作。
2/15(金)〜17(日)の学内展「Human Style 7」では、今回のプレゼンよりさらにブラッシュアップされた作品が並びます。

2013年1月27日日曜日

魅力の紙箱。


銀座グラフィックギャラリーで開催中の松永真ポスター100展に行ってきました。(1/31まで)
会期終了間近のぎりぎり滑り込み観賞です。

展覧会のタイトルは「ポスター100」とありますが、会場に設置のモニターにはパッケージデザインなど様々なメディアも紹介されています。

松永氏を代表する有名なパッケージのひとつであるscottie(スコッティ)。
唯一四角い紙箱のまま部屋に置いておける素晴しいデザインのティッシュボックスですが、現在は発売しているのでしょうか?すっかり見なくなりましたね。
会場受付ではscottieポケットティシューが配布されています。

個人的には松永氏の作品といえばフランスタバコの「ジタン」(GITANES)のライト版である「ジタン ブロンド レジュール(GITANES Blondes LEGERES)」のパッケージがとても好きです。

GITANESはフィルター付きや両切り、ライトなどのバリエーションによって、ブルーの色が濃かったり、煙の色がブルーだったり、ベースが白だったりしますが、レジュールほどのデザイン変更はされていません。GITANESオリジナルの雰囲気をしっかり残しながら、現代的にアレンジしてあって見事なデザイン。
左手前がオリジナル。右手前の2つが松永氏デザイン。

このジタン ブロンド レジュールはフランスのみの発売でしたが当時どうしても欲しくて、フランスにいた知人に頼んで手に入れたものです。その後も日本での発売はなかったと思うので手に入れておいて良かったです。

タバコのパッケージデザインというのは紙箱パッケージの華でしたが、日本では2005年くらいから警告表示が30%以上で表示されることが義務づけられたため、デザイン的に魅力がなくなりました。
世界的にも警告表示が随分大きくなっているようですね。

久しぶりに渋谷の「たばこと塩の博物館」の常設展示にあるパッケージコレクションを見に行きたくなりました。

2013年1月26日土曜日

かなわないワケ。


ワタリウム美術館1FとB1のOnSundaysで開催中の森本千絵en°木の実展に行ってきました。(1/29まで)

クリエイターの森本千絵さんが制作し続けている新聞コラージュやドローイング、ダミー本などの展示会ですが、展覧会会場ではなく洋書と雑貨の並ぶ店内での展示。

1階から地下への階段壁面には新聞コラージュが全面に貼られていて、OnSundaysの空間がまったく別物になっています。

これまで断片的なコラージュ作品やグラフィックデザインの作品などは見た事がありますが、これだけのデザインの元を見るのはもちろん初めて。
この人にはパソコンは必要ないと本当に感じるほど、手を使って表現することから始まっていてその量がすごい。

コレクションボックスのような展示の仕方もとても魅力的でした。
会期終了まであと少しですが、学生さんには絶対見て欲しいと思いました。





2013年1月25日金曜日

緊張して来た。


いよいよ明日1/26はデザイン学校の卒業制作プレゼン
丸一日かけて卒業年次のインテリアデザイン専攻とグラフィックデザイン専攻の学生全員がプレゼンテーションを行い、講師をはじめ学生や学校の職員、卒業生、保護者、来校者、一般の方々等々、とても多くの人が視聴します。

発表会の場というのはつい隣の人と「今の○○ってさぁ」などと話したくなるものですが、発表の妨げになるのでそこはガマン。後で質問と言っても中々時間の制約もあって難しいものです。

数年前に試験的に実施したTwitterのハッシュタグによるつぶやきは、プレゼン中にネット上で意見や感想が飛びかい大盛り上がり。毎年恒例になりました。
さらに昨年度よりUstreamでライブ中継し、海外留学中の同級生が海外からTwitterで意見や感想のつぶやき参加というカタチも定着。
今年も留学生が夜中にもかかわらず参加してくれるようです。

少し前までは想像できなかったハイテクプレゼンが個人が所有している道具で可能になったことに驚きです。
もっとも発表する本人がマイクに向って話していなくて声が拾えない。なんてことが普通にあるのですが。

さて。聞く方も緊張してきました。
明日のプレゼンが楽しみです。

2013年1月24日木曜日

それぞれの締めくくり。


デザイン学校の高等部では、1年間の締めくくりとして、作品発表会を実施しました。

まだデザインの学習を始めたばかりの1年生の学生さんたちですが、1年間のデザイン学習の成果として作品を振り返ることや、何を考えて作品を制作したのかをまとめることは大切なプロセス。ましてこれから続いて行くデザインワークには、作品について自分の言葉で他人に伝えることはとても重要なこと。

はじめは嫌がっていましたが、話し始めれば自分の作品については思い入れがあるので言葉は出ます。今日の発表会では同じクラスの仲間や知っている先生達が相手でしたが、知らない人、もっと大勢の人の前でも「わかりやすく」「毅然とした態度」で発表できるように経験を積んでいきましょう。

2013年1月23日水曜日

鳥と湿地。

落葉樹の葉が落ちて見通しが良くなり、空気も澄んでいて野鳥観察が本格化する冬。日本各地の湿地では冬に日本に渡ってくる冬鳥がピーク。

そんな時期に大阪港の人口湿地公園である「大阪南港野鳥園」の話題が。
19.3haの広さを持つこの公園は、1983年に3つの人工干潟と湿地を大阪市が整備したもので、国際的な鳥類保護組織であるBirdLife Internationalが、世界100ヶ国以上の加盟団体と共同実施しているIBA(Important Bird Areas/重要野鳥生息地プログラム)事業の対象の1つでもあります。

その「大阪南港野鳥園」が、昨年10月に橋下徹市長の行財政改革で予算カットと廃園が決定されニュースになりましたが、渡り鳥は国を超えてとても広範囲な移動をするので、干潟と湿地は国際的な保全協力がとても重要。市の予算のことだけで廃園にしていい問題ではないはずです。

これまでも様々な専門家が存続を呼びかけましたが、大阪南港野鳥園を存続させる会が「大阪南港野鳥園の存続に関する要望書」を大阪市市政改革室に提出。WWFジャパンがこの要望書の主旨に全面的に賛同し、賛同団体として署名していることがニュースになっていました。
>>大阪南港野鳥園の存続に関するWWFジャパンの記事

こうした環境保全問題は破壊され無くならないと話題に上りにくいものですが、「大阪南港野鳥園」問題を通して、湿地における生物多様性についての意識が高まって話題になることが増えるといいですね。

2013年1月22日火曜日

見ても楽しい。


明日。1/23からチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」が伊勢丹新宿店で開催されます。(1/28まで)

今年のテーマは「ルネサンスー知の再生ー」カカオ、職人、風土の3つの視点からショコラの原点に迫るとか。
高級チョコレートは味はもちろんですが、造形的な美しさやパッケージなども楽しみのひとつ。確かにここ近年は派手さが目についていたような気がするので原点復帰は楽しみですね。

公式サイトで紹介されている、受賞ショコラを集めた「SELECTION Les Médaillés(レ・メダイエ)」のパッケージはイラストがちょっと気が利いている感じですが、「SELECTION Renaissance(セレクション・ルネサンス)」のパッケージや、Charity Box(チャリティボックス)のパッケージを見るとちょっと不安にもなります。

1月末というのはなかなか落ち着かない時期ですが、28日まで開催なので、なんとか会場に踏み込みたいと思ってます。

>>昨年の「サロン・デュ・ショコラ2012」でのジャケ買いのブログ記事

2013年1月21日月曜日

お気楽な鳥見。

先日の休日は遅い午後から立川の国立昭和記念公園で鳥見。
元陸軍基地の跡地に造られたこの公園は、大きな池や芝生広場、森林、日本庭園、プール、子どものための遊具施設などが設置された170haほどの広大な敷地を誇る国営公園で、日本野鳥の会の探鳥会も定期的に行われるお気軽な鳥見のスポットとしても有名。

駐車場へ車を置いていざ入場チケットを。と思ったのですが、いきなりのエナガの群に遭遇。コロコロした薄いピンクの胴体に長い尾というバランスがとてもカワイイ。そのまま追って林へ、まだ園外。

早々にエナガはどこかへ行ってしまいましたが、オレンジ色のヤマガラ、ネクタイ柄のシジュウカラが結構な数でいます。
単眼鏡で木の上を眺めていると足元の低い植え込みの中から結構大きな音で何かコツコツという音が。
そうっと眺めるとヤマガラが何かの木の実を両足で押さえて割って食事中。

しばらくヤマガラの食事を観察していると、今度は木の上の方から別のコツコツと木を叩く音が。
こちらはコゲラ。
小型のキツツキで一生懸命木に穴を開けています。

ここまでざっと20〜30分くらいで、10m圏内の出来事。
コゲラが移動した頃にはシジュウカラとヤマガラもいつのまにかいなくなっていたので、行動範囲を広げて周囲を散策。鳥のさえずりが聞こえる方へ移動。

注意しているとスズメより大きい鳥が飛び立ち木の枝に止まりました。逆光でディテールはよく見えないのですがずんぐりしたプロポーションと短くて大きめのくちばしなので、イカル?と期待。移動を待っていると明るく見やすい場所へ。イカルより小柄で色も落ち着いた感じ。それでも顔には、黒い隈取りのような模様もあります。コイカル?という疑問を残したまま後ほど図鑑で確認ということになりました。
その後もツグミやウグイス?と思われる野鳥に次々と遭遇。
雪の残る寒い気候でしたが短時間で充実の鳥見となりました。
結局、園内には入らず入口の門より手前の林と芝生で大満足でした。

コイカル疑惑の野鳥はシメと判明。鳥見の時は図鑑は持参がいいですね。

2013年1月20日日曜日

渡辺力氏

工業デザイナーの渡辺力氏が8日に亡くなったとのニュースがありました。

戦後の日本のデザイン界に革新的をもたらしたデザイナーで、1950年代、60年代にデザインされたDNタワー21(旧第一生命館)の横に立つポール時計や鳥居のシルエットを感じさせるトリイスツールソリッドスツールや段ボールの三角柱が組合わさったエアリースツール(リキスツール)などは、50年以上経った現在でも復刻され人気のモダンデザインです。

享年101歳の大往生ですが、亡くなる直前まで新作に取り組んでいたということです。
ご冥福をお祈りいたします。

>>2011年7月の100歳を迎えられた時に紹介したブログ記事

2013年1月19日土曜日

浮いてる。


ロダンとブールデルの彫刻や素描が展示されている「手の痕跡」が開催中の国立西洋美術館では、もともと彫刻が展示されていた本館吹き抜け展示室がすっきりしていますが、そこにガラスケースがひとつ置かれていました。

1994年~1998年に本館前庭の地下展示室を新設すると同時に行なわれた大規模な免震工事を説明する断面模型です。

免震レトロフィットという工法で、既存の建築物の意匠や機能を損なうことなく地震対策を実現できるというもので、建物が丸ごと「免震ゴム」で持ち上げられて地盤から浮いています。免震工事の写真はこれまでも展示されていたので何となくイメージはあったのですが、模型で実際に見せられると地盤との「隙間」がリアルに感じられて技術力の高さに圧倒されます。ほんとスゴイ。

そういえば、復原された東京駅丸の内駅舎にも「免震ゴムが使われている」と盛んにCMでやっていますね。


2013年1月18日金曜日

手で触る素描


上野の国立西洋美術館で開催されている手の痕跡ー国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描を見てきました。(1/27まで)

国立西洋美術館の所蔵品の中でも数が揃っている2人の彫刻家の展覧会で、これまでの常設展でも一部が展示されてきましたが、一堂に展示されるのははじめてです。

所蔵作品が中心ということで企画展としては異例の撮影可能な展覧会。
外にある地獄の門のマケット(試作模型)は石膏に薄いレンガ色で彩色されていて、ブロンズ以上にディテールがわかりやすいものでした。

彫刻作品は空間で善し悪しがとても変わってしまいますが、スポット照明で影がキツいのがやや気になった以外は、広過ぎず無理な壁仕切りも少ないため見やすかったです。

特にこれまで見た記憶がなかったロダンの素描は、人物の顔の表情などの骨格や筋肉の量感の表現がまるで立体の彫刻のようで、とても納得の行くものでした。

ロダンやブールデルの彫刻がすべて企画展示に移動になっているため、彫刻のない常設展示の本館吹き抜け展示室も新鮮。国立西洋美術館の企画展は毎回ボリュームがあり、なかなか同時に常設展をゆっくり見られないのですが、今回は企画展が広くないぶん常設も建物もゆっくり見られてオススメです。
いつもは彫刻で埋まる空間がとてもすっきりしていました。

2013年1月17日木曜日

授業の試作


保育士や幼稚園の先生を目指す学生さん達を対象にしたクラスでは、次年度入学が確定した方を対象とした特典授業が月に一日開講されます。

今月は子どもの造形教育に関する授業なので担当を任されました。
実際に手を動かして作品作りを行うことで難しさや楽しさを知り、教育に生かしていくことが目的の授業。

今回は「仕掛け絵本」を予定。
ポップアップ絵本の世界は複雑さを競っているような感がありますが、できるだけシンプルな仕組みで効果的なものを試作中です。
短時間の授業内で仕組みを知り、試せることが大切なので、事前にベースとなる本の構造材をある程度作っておくことも視野に入れながら試作を重ねています。

2013年1月16日水曜日

フラットにできない?

ザ・プリンス箱根の本館はドーナッツ状の円筒形。
中央には吹き抜けの中庭があります。
1.2階はレストランフロア。
外観では客室のバルコニーが上部に持ち上げられていて軽快なアクセントになっています。

バルコニーの間には屋根から雨樋が降りていますが、これもデザインの一部に見えるので見事です。

外観では優雅に見える円筒形のデザインですが、ひとつだけ何故?と疑問に思う部分が客室内の天井にありました。
カーブを描くカーテンレール手前での切り返し。
オリジナルからなのかリノベーションからのものなのか。構造的な事はあるにしても表面的にはフラットにできたはずなので、なぜフラットにしなかったのかを知りたいです。


2013年1月15日火曜日

建築とインテリア


箱根芦ノ湖畔のザ・プリンス箱根
何で「」なのかと思って調べてみると数あるプリンスホテルグループの中でもランク分けされていてその最高のものだとか。びっくり。
確かに1978年に作られたホテルでその後リノベーションされているとは言え、寂れた感じもなく、むしろ重厚さを感じるほど。全盛期の西武グループの力なのでしょうね。

円筒形の本館にそれぞれある2つのレストランもリノベーションの対象だったようですが、壁面タイルや照明は当時のものだとか。
それぞれのレストランで馬のランタン形シェード人面のランプシェード
高い天井にあるので良くわかりませんが、中央アジアなどで多く見られるなめし革のような質感です。
曲線を描きながら細長く広がる不思議な空間ですが、高い天井に続く独特のデザインの照明が空間の良いアクセントになっています。

帰ってきてから調べたところ、2008年にPanasonic汐留ミュージアムで「村野藤吾 建築とインテリア」という展覧会を開催していて、その際にこの照明は展示されていたようです。せっかく近くで見られた機会でしたが、開催自体をまったく知らなかったので残念です。やはり普段からアンテナ張らないとダメですね。

壁面上部のテラス風になっている青いタイル部分は、ひとつ上の階の廊下から見下ろす窓になっていてバラの模様が描かれていました。

こうした細かい部分の意匠も含めて建築なのだという意識がそこここに感じられる素敵な空間でした。

2013年1月14日月曜日

動線に納得

新年の仕事始めでバタバタと追われた1週間が過ぎ、正月気分も抜けた月半ばに2週間ほど前に湧いた箱根駅伝の往路ゴール地点、箱根の芦ノ湖畔に行ってきました。
目的地は「ザ・プリンス箱根(旧箱根プリンスホテル)」。
建築家村野藤吾氏の代表作のひとつ。

正面玄関は平屋のような低層のデザインでフロントに入ると天井高が押さえられた落ち着いた空間。
そこからロビーへ出ると天井高の高い教会建築のような開放的な空間となり、フロントとの対比が素晴しい。

更にロビー奥から左右への客室への動線が同じフロアではなく1フロア下がるので、ホテル内を利用のために移動する宿泊客がロビーからの視界に入らないというのも上手くできています。

ロビー各所の造形や質感もこだわりがみられます。天井に設けられた間接照明が反射する部分には黒っぽい石を削ったような図柄に見えますが、いったいどんな仕上げなのでしょうか、光の反射でネガポジが反転するような不思議な見え方をしています。

ホテル内には螺旋階段がとても多いのも特徴。
中でもフロントからロビーを通らずに直接客室への通路へ降りる螺旋階段と通路から国際会議場へと降りる螺旋階段は、優雅な手摺とのバランスが絶妙。階段裏の造形も美しいです。

デザイン学校のインテリアデザイン専攻の学生さんは、Y先生の授業でやはり村野藤吾氏の代表作である「目黒区総合庁舎(旧千代田生命本社ビル)」を見学していると思いますが、あの階段もとてもきれい。村野氏の階段は本当に美しいですよね。
階段フェチになってしまいそうです。

こんな本を見つけました。
おもしろそうなので読んでみようと思います。


2013年1月13日日曜日

感心レシピに関心

先日、新聞に料理家のウー・ウェンさんのレシピが載っていました。
長芋と厚揚げのスープ煮」。
火にかけたごま油と長芋を軽くなじませ、水と厚揚げを入れて煮立ったらふたをして弱火で7〜8分煮て、豆板醤を加えて仕上げる。というシンプルさ。
出汁は?塩は?と半信半疑ながらあまりに簡単なので作ってみました。
ただ豆板醤がなかったので「かんずり」で。
塩気の違いがあるのでしょうね。ちょっと薄味だったのでレシピにない塩を加えましたが、とても美味しかったです。
厚揚げとゴマ油が良い出汁になるのですね。びっくりです。

ウー・ウェンさんのレシピは、読んでいてイメージがしやすく、いじりすぎないのでとても美味しい。中国の家庭料理を現代の日本に合わせてアレンジしているのでしょうが、素材の味がとても大事にされていていつも感心してしまいます。

2013年1月12日土曜日

研究は想像力。

東京大学総合研究博物館で開催中の東大古生物学展の最終日に閉館時間のぎりぎりで行ってきました。

毎回とても渋い展覧会を企画するこの博物館ですが、今回も古生物「学」ということで単なる「化石展」ではありませんでした。

もちろん東大が誇る貴重なコレクションも見応えがあるのですが、過去から現在まで、学術的な研究成果や研究プロセスなどの解説が難解ながらとても興味深いものでした。

貴重な貝の標本などを撮影すると内部構造をシミュレーションして画像化する技術が、どうなっているのかまったく分からないのですが、もの凄かった。

貴重だから壊して調べられない。でも中身が見たいという純粋な欲望から試行錯誤して生まれた技術なのでしょうが、CTやMRIなどのような断面からではなく、あくまで外形から判断できないかという想像をしているところもすごいです。

やはり東大博物館は要チェックだとあらためて感じました。

今回の展示は特別に撮影可でしたので雰囲気写真を撮ってみましたが、ガラスケースにスポットや他のケースの照明などが映り込むのでアングルが難しいですね。
壁面は全て大判の写真なので、派手さはありますが、もっと展示物を増やして欲しかったですね。


2013年1月11日金曜日

最強のデザイン誌


飯田橋のモリサワ東京本社で開催中の「田中一光とモリサワ展」に行ってきました。

写真植字(写植)を開発し、デザイン業界がデジタルに変わっても、文字のメディアをリードし続けているモリサワとグラフィックデザイン界の巨匠田中一光氏の関わりをグラフィック作品で振り返る展覧会の第2弾で、モリサワのPR誌「たて組ヨコ組」の展覧会。21_21 DESIGN SIGHTの「田中一光とデザインの前後左右」展に合わせた企画展示です。

たて組ヨコ組は、1983年創刊。
田中一光氏と勝井三雄氏が交互にアートディレクションを担当し、タイポグラフィとグラフィックデザインを中心とした情報誌は、もっとも影響力のあるデザイン誌の一つであったのではないでしょうか。
何よりも両氏がデザインだけでなく編集内容にも関わっていて、記事への掘り下げ方から違う上、デザインに至っては気の配られ方がとても緻密。
田中氏が逝去した2002年の57号が終刊号なので、もう10年以上前になくなってしまったデザイン情報誌ですが、今でも最強のデザイン誌のひとつだと納得させるものでした。

kitaCafeの本棚にも一桁台の刊行からずっとありましたが、スペースの問題もあり3年ほど前にデザイン学校に寄贈しました。教室の本棚にはページに付箋が貼られたままのものがありますので、たまには学生さん達が開いているようで少し安心しました。




2013年1月10日木曜日

極寒東京駅ロケ


デザイン学校の2年生は卒業制作がいよいよ大詰め。
学生さんたちは目の色を変えて最終発表までの日数をカウントダウンしています。

毎年テーマを設定して取り組んでいるグラフィックデザイン専攻の今年のテーマは「夢見るデザイン」。

グラフィックデザインの領域は、様々なメディアが存在するので、対応も様々。
今日は写真をメインに制作する学生さんのお手伝いで夜の東京駅へ。夜間のライトアップを活かしたスローシンクロ撮影に挑戦しました。

ライトアップされた景色の手前でのポートレートは通常真っ暗になってしまうので、ストロボで補助光をあてますが、カメラまかせのオートでは人物に光が当たり過ぎて不自然すぎる写真になってしまいます。
また、ライトアップの光源とストロボの色の違い(色温度)が異なるため、色調の補正(ホワイトバランス)も入念なチェックが必要です。
何度もテスト撮影を繰り返し、出来る限り撮影後のPCでの補正が少なくて済むように調整して行きます。
凍えるほどの東京駅前。
果たして使い物になる写真は撮れたのでしょうか。
残り16日。最後までしっかりやり切って欲しいですね。

お手伝いで来てくれた1年生に立ってもらって、構図と露出、色温度を何度も確認中。

2013年1月9日水曜日

朝粥か夕粥か。

お正月気分の明けた7日は「七草粥」を食べる日。
草なので日?日だから草?
由来は諸説あるようですが、お正月の暴飲暴食には青菜の栄養補給とお粥の優しさは嬉しいものです。

ここ最近は七草粥は作っていなかったのですが、たまたま元気な七草セットに出会ったので、珍しく七草粥を作ってみました。
炊飯器でも粥炊きコースはあるのですが、なんとなく目に見えた状態でないと安心できず、鉄鍋で炊きました。
途中経過がわかる上いつでも味見ができるので、調理場にいるのであれば鍋炊きがベストだと思いました。

本来、七草粥は朝食べるのが本式(?)だそうですが、夕食のご飯代わりだったので塩だけの粥でではちょっと物足りなく思いホタテを投入。
良い出汁がでて美味しいです。
朝粥もとても優しいので好きなのですが、なぜか踏みきれず毎回夕粥。

粥を作るととても簡単なので毎回もっと「頻繁に作っていい」と思うのですが、なぜか日常では忘れてしまいます。
今年は出番を増やそうという誓いをたててみました。

2013年1月8日火曜日

バードウォッチング

サントリー美術館で開催中の森と湖の国 フィンランド・デザインを見てきました。(1/20まで)

フィンランド国立ガラス美術館の所蔵する貴重なガラス作品を中心にイッタラグループのアラビアやヌータヤルヴィなどのガラスを集めた展覧会。

名品でフィンランドガラスの歴史をたどる展覧会ですが、現代ガラス作家の作品によるインスタレーションもあり、フィンランドのガラスの奥深さを感じました。

ヌータヤルヴィのガラスを多く手掛けるオイバ・トイッカ(Oiva Toikka)のバードコレクションを並べた大きな展示台がありました。1羽でも存在感充分の作品ですがこれだけの数が並ぶと壮観です。

この展覧会では4階から3階の展示室に降りた吹き抜け空間と出口手前のみ撮影可でした。
最近は一部などが撮影可能な展覧会が多くなった気がします。
FBやTwitterの普及から宣伝効果を期待しているということもあるのでしょうね。

イッタラ(iittala)のバードシリーズの制作動画がYouTubeにアップされていました。
すごいです。


会場ではアアルトの花瓶(Aalto Vase)に使われていた型も展示されていましたが、なんと木型です。現在では動画で見るかぎり人工石のようですが、基本的には変わらない制作行程のようです。


2013年1月7日月曜日

敵わないワケ。


六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中の田中一光とデザインの前後左右を見てきました。(1/20まで)

2002年に亡くなられた日本のグラフィックデザイン界の巨匠である田中一光氏の展覧会はこれまでも東京都現代美術館やgggなどをはじめ各地で開催されましたが、完成された作品を中心とした作品展ではなくその思考やプロセスに迫るコンセプトでこのような大規模な展覧会は初めてではないでしょうか。

会場の大展示室にはデザイン表現をテーマに分けた10卓のテーブルが整然と並び、作品とその資料が展示。原画や版下、指定紙、校正紙などの貴重な資料が並び、一点毎に見応え十分。しっかり時間を取らないと見切られない内容です。

中でも一光氏がモリサワと開発した日本語書体の「光朝」は、これまでに自身が様々なデザインワークのために描きためた明朝体が元となって生まれた書体。その元となる断片的な手描き書体は完成され印刷されたグラフィックとは異なる強さを感じます。

21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会ではメインテーマに関連する作品展示が行なわれることが多く、どうもそれが良くわからないことが多いのですが、今回の展覧会ではデザイナーの廣村正彰氏が「His Colors」という作品を展示。
田中一光氏がそのカラーバリエーションの制作に参加した洋紙「タント」と「カッティングシート」を用いたインスタレーションで、一光氏の色へのこだわりと感覚を感じられる素晴しい作品でした。
このインスタレーション作品は会期中に退色してしまうタント紙の張り替えも行なったそうです。

グラフィックデザインを学ぶ学生さんには必須の展覧会。
まもなく終了です。

関連の展覧会がモリサワ本社のロビーでも開催されているようです。
田中一光とモリサワ展ーたて組ヨコ組展(1/18まで)

2013年1月6日日曜日

2013年の展覧会 その3

2013年に開催される注目の大規模な展覧会をひとつ。
2011年の震災からちょうど2年となる今年3月。東日本大震災復興支援企画展若冲が来てくれました プライスコレクション江戸絵画の美と生命が開催されます。

2006年に東京国立博物館で「プライスコレクション 若冲と江戸絵画 展」が開催された際に来日した、プライスコレクションを代表する若冲の升目描きによる大作「鳥獣花木図屏風」などの名作が再び日本に来ます。

この次はいつ見られるかわからない作品ですから、できれば今年見ておきたい一点です。

ちょうど昨年末から小学館創業90周年記念企画「日本美術全集<全20巻>」の発刊が開始されました。第1回配本「法隆寺と奈良の寺院」はTV-CMで盛んに放映されていますが、2月22日の第2回配本が「若冲・応挙、みやこの奇想」。
今回の展覧会でも小学館は協力に参加しています。
21世紀は若冲ブームの時代。それに乗っかってでも日本美術が盛り上がって来ているのは、とてもいいことだと思います。


若冲が来てくれました
プライスコレクション江戸絵画の美と生命
仙台市博物館(3/1-5/6)
岩手県立美術館(5/18-7/15)
福島県立美術館(7/27-9/23)


2013年1月5日土曜日

2013年の展覧会 その2


2010年7月23日に開設したkitaCafeブログ。
開設からの全期間の総ページビューが50,000アクセスを超えました。ありがとうございます。これからもデザイン・アートや自然、美味しいものなどのネタを続けていきたいと思いますので応援宜しくお願いします。


さて、2013年に開催される注目の展覧会(映画もひとつ)。
2月以降に開催される展覧会は何かと忙しくなる年度変わりでの開催なので、身損ねてしまわないようしっかりチェック。

デザインあ展
21_21 DESIGNSITE
(2/8-6/2)
2012年のグッドデザイン大賞を受賞したNHK Eテレの教育番組を展覧会という形で構成したもの。何を見せてくれるか楽しみです。

東京オリンピック 1964 デザインプロジェクト
近代美術館ギャラリー4
(2/13-5/26)
日本のデザインは東京オリンピックで確立されたと言ってもいいほどのプロジェクトを紹介する期待の展覧会。

つつみのことわり
伊勢貞丈「包之記」の研究
山口信博+折形デザイン研究所
クリエーションギャラリーG8
(2/19-3/21)
贈答の際の包みと結びの礼法である折形研究のダイアグラムとその研究から生まれたデザインを紹介する思考の展覧会。

アーウィン・ブルーメンフェルド
美の秘密
東京都写真美術館
(3/5-5/6)
各国の美術館に散在しているファッション・ポートレイト全盛期に活躍したブルーメンフェルド氏の作品を復元も含め100点ほどが展示される貴重な展覧会。

集落が育てる設計図‐アフリカ・インドネシアの住まい‐ 展
LIXILギャラリー
(3/6-5/25)
アフリカの土とインドネシアの木からなる住居の原点を探るという期待の展覧会。

カリフォルニア・デザイン 1930-1965 -モダン・リヴィングの起源-
国立新美術館
(3/20-6/3)
20世紀のデザイン史の中で必ず触れるカリフォルニアの「ミッドセンチュリー・モダン・デザイン」を断片でなく幅広いジャンルで紹介される期待の展覧会。

ハーブ&ドロシー 50×50(日本公開タイトル:ふたりからの贈りもの)
東京都写真美術館
(3/30〜上映開始)
待ちに待った映画「ハーブ&ドロシー」の続編がいよいよ公開。二人の所蔵した膨大なコレクションの寄贈プロジェクトを描いた期待の映画。

2013年1月4日金曜日

2013年の展覧会 その1


正月の三が日が終わり、街中が日常モードに戻ってきました。
まもなく入試や進級、卒業、就職などと学生さんにとっては落ち着かない時期になりますが、気持ちを落ち着けていい新年のスタートを切って欲しいですね。

2013年も楽しみな展覧会が多く開催されます。
まだ年間スケジュールが発表されない美術館も多いのですが、まもなく終了する展覧会の整理と一緒にまとめてみました。

まもなく終了する展覧会。

東大古生物学――130年の軌跡
東京大学総合研究博物館
(開催中-1/11)
東大の総合研究博物館は小さいながら内容がとても濃いです。
コレクションの凄さとストイックな展示が毎回とても素敵な展覧会となっていますので、古生物学もとても期待です。

田中一光とデザインの前後左右
21_21 DESIGN SIGHT
(開催中~1/20)
まだ見に行けていないのですが、ggg(銀座グラフィックギャラリー)での数回に分けてのポスター展を見ていても訪れたい展覧会。

森と湖の国 フィンランド・デザイン 展
サントリー美術館
(開催中~1/20)
アルヴァ・アールト、カイ・フランクなどのデザイナーに代表されるデザイン展。ガラス作品が中心というのも期待です。

手の痕跡
国立西洋美術館所蔵作品を中心としたロダンとブールデルの彫刻と素描
国立西洋美術館
(開催中~1/27)
油彩画など平面作品の素描とは異なる彫刻家の力のある素描が見所。

森本千絵 展 En°木の実 展
WATARI-UM OnSundays
(開催中-1/29)
昨年の印刷博物館P&Pギャラリーでのトライアルでも一部が展示されていたコラージュ作品をはじめ、森本千絵さんのデザインの原点とも言える作品が見られる貴重な機会。

アートと音楽-新たな共感覚をもとめて
東京都現代美術館
(開催中-2/3)
アートと音楽というのはこれまでも融合されながら表現されてきていますが、坂本龍一氏が総合アドバイザーとなっている展覧会というだけで何やら起こりそうな感じです。

中ザワヒデキ展 脳で視るアート
武蔵野市立吉祥寺美術館
(開催中-2/7)
医学部出身の現代美術家である中ザワヒデキ氏ならではのアート展。視覚と脳の関係がつかめそうな気がします。

山と森の精霊 高千穂・椎葉・米良の神楽 展
LIXILギャラリー
(12/6~2/22)
宮崎県に伝わる神楽と九州の仮面を紹介。民衆芸能の芸術性に着目した展覧会。

世界のブックデザイン2011-12
P&Pギャラリー
(開催中~2/24)
ドイツで開催される「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書と各国の書籍が手に取って見られる展覧会。
毎年見応えがありますが今年も欲しい本ばかりの展覧会でした。
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そしてまもなく開催の展覧会。

松永真ポスター100展
銀座グラフィックギャラリー
(1/9-1/31)
資生堂宣伝部出身のグラフィックデザイナー。手掛けたパッケージデザインも多いのですが、ポスターのみを集めた展覧会。

JAGDAやさしいハンカチ展 Part 2
〜東北の被災した子どもたちとデザイナーがつくった元気のでるハンカチ〜
東京ミッドタウン・デザインハブ
(1/15-2/17)
継続的な復興支援のために、被災地のこどもたちが描いた絵をデザイナーがデザインしたハンカチの展示と販売会。

第52回 消費者のためになった広告コンクール展
アド・ミュージアム東京
(1/17~3/3)
毎年恒例の広告コンクール。
身近で馴染みのある広告が多く展示されるのも楽しみのひとつ。

ここに、建築は、可能か 第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館帰国展
ギャラリー間
(1/18-3/23)
陸前高田市に建つより人間的で居心地の良い空間を目指した「みんなの家」の竣工に合わせ、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展で金獅子賞を受賞した日本館の試みが見られる展覧会。

2013年1月3日木曜日

三社三様。


新聞広告は、ポスターとは違って、目に入る距離が近いため、よりメッセージ性がはっきりしていて楽しいものです。
不景気ということもあってか最近は新聞の全面広告というものが少なくなってきましたが、それでもお正月は各企業が新年の挨拶を込めて大々的に全面で新聞広告を打ちますので、新年の新聞はとても楽しみです。

昨年は印象に残らなかった(なかった?)大手出版社の広告が今年は目立ちました。
左から講談社、小学館、集英社です。

講談社はコピーが「本を、ひらこう。」写真の左端の曲線は「しおり」です。
なんか切実な感じでちょっと痛い。どうせならもっとドキっとさせても良かったんじゃないかと思ってしまいました。

ビジュアルのインパクトは圧倒的に小学館。
創業90周年記念企画として刊行がはじまった「日本美術全集 全20巻」に合わせ、 伊藤若冲の虎図を大胆に持って来ています。正月なので「寅年?」とも思わせるところも狙いなのではと感じさせるインパクトです。ちょっとズルいですけど。
ただコピーに強さがなく残念。

別の意味でインパクトがあるのが集英社。
太ゴのコピー「読書は、本能。」が効いています。
よく見るとノンフィクション作家で冒険家の角幡唯介氏が極寒の地で本を読んでいる。
ただこの無骨さは好きなタイプではないのですが。


コピーだけを比べるとどの広告も「本の大切さ」を訴えていて、業界の危機感が感じられました。

>>2012年のブログ「新聞広告は楽しい-1」
>>2012年のブログ「新聞広告は楽しい-2」


2013年1月2日水曜日

おめでたい動物


食べ物を盛るための器は食材の色などとのバランスが大事なので、柄物よりも無地の方が無難にまとめられるため、日常的にはあまり色鮮やかなものを使わない傾向にありますが、お正月などの祭事には特別に賑々しいものを選びたくなります。

日本の伝統的な絵皿では落ち着いた陶器よりも色絵の磁器などが賑やかでいいのですが、ただ単に美しい装飾というだけではなく、描かれている模様に意味を持たせたものも多くあるので、特におめでたい図柄を食器棚から探しだしました。

縁起の良い動物とされる「亀」。

鶴と並んで長寿を象徴する吉祥の動物とされますが、特に甲羅に苔や藻が付着した亀は、蓑をまとったように見えることから蓑亀(みのがめ)と呼ばれ大変おめでたい動物とされています。

九谷焼に多く見られる緑色の色絵が鮮やかな蓑亀のお皿は、金継ぎの直しが入っていることでさらに賑々しく感じます。濃い緑色が錦卵や伊達巻きの黄色の鮮やかさを増してくれました。

2013年1月1日火曜日

初詣は天神さんへ


2013年がはじまりました。
ニュースでは各地の初詣の人出が話題になっています。

kitaCafeのある国立には谷保天満宮という神社があって、近くでもあるので何かと訪れることが多いのですが、この谷保天満宮は東日本における天満宮としては最も古く、湯島天神、亀戸天神とならんで関東三天神と称される由緒ある神社なのです。

天候にも恵まれた元旦。
まだ日が高いうちにと思い初詣に行きましたが、参道は大賑わいで参拝客の行列を整理する警察官も大勢いるほどでした。

学問の神として親しまれる菅原道真を祭神とする天満宮(天神さん)は、これからの入試シーズンにむけ受験生にはひと際深刻な願い事が集中しますが、学問、詩歌、書、政治などに優れた学者であった菅原道真ですから、これからの日本が良くなるようお願いしてきました。

今年も宜しくお願いします。