2015年7月31日金曜日

初夏の幻。

5月の下旬に湯沢へ行った際に仕入れて食べた国産のニンニクの芽。
その時のみずみずしさが忘れられず、その後も国産ものを探しているのですが、どうやら限られた地域、季節だけの貴重なものだったようです。

ニンニクの芽は花を咲かせるために伸びた花茎という部分で、球根に栄養が貯められるように花を咲かせる前に刈り取った部分。

スーパーなどで売られているものや、飲食店のものはほとんどが中国産で、茎を収穫するために品種改良され、通年収穫されるもの。
一方、国産ニンニクで多く流通しているニンニクからは芽がのびづらい品種で食用にはならず、ごく限られた地域で栽培されている品種だけからしかニンニクの芽は収穫されず絶対量が少ない上、5月〜6月上旬だけに収穫される希少品なのでした。

たまたま出会えれば食べられるという幻の野菜なのですね。
果物には季節感を感じますが、野菜も本来はもっと旬があるはず。
その時期だけと聞くと自然から栄養をいただいているということをひしひしと感じます。

<ニンニクの芽とモヤシのナムル>

2015年7月30日木曜日

半透明薄緑の箱内。

少し前になりますが、静岡の長泉にある「紙の資料館 特殊製紙総合技術研究所 Pam」に行ってきました。

この施設は製紙メーカーえある特種東海製紙のショールーム的な存在の施設で、名称のPamは「Paper and Material」の頭文字から付けられています。
2002年に竣工。建築家の坂茂氏の設計で、2003年のGOOD DESIGN AWARD(グッドデザイン賞/建築・環境デザイン部門-建築デザイン)を受賞。
ディレクターが豪華(田中一光、坂茂、小池一子が参加)なことも注目でした。

以前から気になっていた建物。
ちょうど興味深い企画展だったので、ちょっと離れていますが思い切って行ってみました。

鉄骨に半透明の淡い緑のFRPのサンドイッチパネルが建物の外壁全体に使われ、アトリウムの天井部分は白テント。開放的で悪天候にもかかわらず室内の暗さは感じず全体に明るい快適な空間でした。



あいにく静岡地方は集中豪雨で外観の撮影ができなかったのが残念。

企画展は「原弘と日本のタイポグラフィ五十年展」が開催中。(〜8/7まで※予約制)


日本タイポグラフィ協会が所蔵する資料は原弘作品以外は実際に手に取れます。
JRやグリコのCIマニュアルが見られたので大満足の展示でした。

学生さんにこそ見てほしいのですが、研修旅行でもなければ難しいですかね。

2015年7月29日水曜日

デザインと改修

4月の宇都宮&日光訪問で撮影した写真をやっと整理しました。
ラストは日光金谷ホテルです。

現存する日本最古のリゾートホテルで、2005年登録有形文化財に登録された建物は、本館の1階部分の円柱をはじめ、館内のいたるところに見られる大谷石が見事なデザインで、そのほかにも至る所に見られる彫刻などで飾られた空間が素晴らしい。

この1階部分は、もともと建っていた建物の地下部分を掘り下げて増築された部分なのだそうですが、たしか箱根の富士屋ホテルも同じように1階部分は地下を掘り下げた作りだったはず。
富士屋ホテルの方は裏側は2階部分が地上という地形で1階部分は建物の手前だけですが、金谷ホテルは建物全ての部分に1階があるようなので、いったいどうなっているのか疑問です。
基礎の上に土台が乗るという日本の木造建築特有の技術なのかもしれません。
機会があったら建築の先生に聞いてみたいですね。

この日光金谷ホテルは2006年には耐震改修工事が実施されました。
この改修では文化財的価値を損なわないよう、極力改修量を抑え、既存の空間に違和感を与えない補強がされたのだそうです。
確かに全体に綺麗になっていますが、改修によるデザイン的な違和感はまったく感じませんでした。

現代のデザインで建て替える建造物が多い中、少し不便であっても手を加えながら使い続けていく施設がこれからも残ってほしいですね。



これまでの宇都宮&日光の記事
>>宇都宮の大谷資料館
>>宇都宮市今市浄水場
>>JR日光駅の駅舎
>>旧イタリア大使館別荘
>>日光真光教会

2015年7月28日火曜日

日光で教会。

4月の宇都宮&日光の写真をはじめ、整理中の写真が多くてアップできていないものがたくさんあります。
少しずつアップしていきたいと思っています。

日光の朱塗りの神橋の先の大通り沿いにある「日光真光教会」
1916年(大正5年)に建てられた石積みの教会。
アメリカの宣教師であり建築家のJ.M.ガーディナーの設計。

こじんまりとした教会ですが、黒い石の表情が宗教建築らしくとても厳かです。
中から見られるステンドグラスもとても美しいもので、特にバラ窓は色のにじみを使う日本ではとても珍しい技法なのだそうです。

観光バスも多く通り土産物屋の立ち並ぶ大通りですが、まったく観光客のいない静かで良い教会です。

2015年7月27日月曜日

2015年7月26日日曜日

コマで割ってみた。

2020年の東京オリンピックエンブレムの映像があまりに楽しいので、どうなっているのか見たくなり、「TOKYO」の文字が現れる80秒ほどをフレーム分割してスクリーンショットで撮ってみました。

面白いです。


2015年7月25日土曜日

Tからはじまる

2020年の東京オリンピックのエンブレムが公式に発表され各所で話題です。

アートディレクターの佐野研二郎さんのデザインで、モチーフは「TOKYO」「TEAM」「TOMORROW」の「T」だそうです。

このところ手描き風というか比較的自由な形態やタッチのデザインが多かったせいか、設計的で古っぽい感じのデザインがちょっと気に入っています。特にコンセプト映像のマーク展開部分はかなり好き。



まったく関係ないですが、いつから「シンボルマーク」という呼称ではなく「エンブレム」と言うようになったのでしょうね。

このイベントでの様々なデザインがどうなるのかとても楽しみです。

2015年7月24日金曜日

日本のモダニズム/その3

8月末で建て替えのため見られなくなってしまうホテル・オークラ本館。

メインロビー周辺にはまだまだ見所がありました。

SEIKOの世界時計。
下部にある都市名のボタンを押すと世界地図上にランプが点き、中央の電光掲示板にその都市の現在時刻が表示されます。
この電光掲示板の淵は豪華な螺鈿細工です。

客室用エレベーターのカーペット模様や消火栓の非常赤ランプなどにも素敵なデザインが多くありました。

日本モダニズムデザインの宝庫がなくなってしまうなんてもったいないですね。



2015年7月20日月曜日

日本のモダニズム/その2

建築家の谷口吉郎が設計したホテル・オークラのメインロビーは、国際的にもとても評価の高いオークラ・ランタンのある美しい空間。

随所のデザインは日本の伝統紋様ですが、ホテルの様式と融合されたすばらしい日本モダニズムを形成しています。

ロビーの大きな窓には麻の葉模様の杉細工が障子越しに差し込む光をさらに柔らかくしています。

梅型に配置されたソファも見事。


2015年7月17日金曜日

日本のモダニズム/その1

今年の8月で閉館建て替えとなってしまうホテル・オークラ本館。
「日本的建築美の創造」をテーマとして建てられ国際的に評価の高いデザインを記録しに行ってきました。

外観の設計は建築家の小坂秀雄、ロビーの設計は設計委員会委員長を務めた谷口吉郎。

各所に見られる日本の紋様が見事です。

外壁には民家や土蔵に見られる海鼠(なまこ)壁のデザイン。
平瓦を貼り詰め、本来漆喰を盛る目地には白磁タイルを貼り込んでいる。

ファサードの庇は三角形が連続する金箔の鱗紋を象った金タイル貼り、車寄に面した1階の外壁は菱紋の格子が建物の表面に表情を出しています。

建物の側面の平坦になりがちな面にも、厚さの異なる同色タイルで表情豊かなデザインが見られます。

ホテル・オークラの公式ホームページでは9月より建て替え開始となっていますが、営業停止日は発表されていないようです。
まだ見ていない学生さんは夏休み中にぜひ見学に行ってください。

2015年7月10日金曜日

映画用フィルムの写真

早稲田大学會津八一記念博物館で開催中の「写真家としてのル・コルビュジエ」展 (Le Corbusier as a Photographer) に行ってきました。(8/2まで)


建築家コルビュジェが多くの絵画を残していたことは有名ですが、写真を多く撮影していたとは知りませんでした。
しかも映画用の16mmフィルムに記録されているというのですから驚きです。

空間的思考の道具として撮影されたという350枚もの写真が一堂に並んだ空間から、コルビュジェの思考を感じ取ろうと思いましたが、純粋に写真に見入ってしまいました

会場となっている早稲田大学會津八一記念博物館(旧大学図書館:1925年)は早稲田大学出身の建築家である今井兼次のデビュー作。
現在は出入りできませんが正面の大階段を上った大扉の八角星の透かし彫りなど見応えありです。