2012年9月30日日曜日

ビーズ。

神奈川県立近代美術館 葉山では、大阪にある国立民族学博物館のコレクションから、アフリカで独自の発展を遂げた装飾ビーズ約200点を厳選した「ビーズ イン アフリカ」の展覧会が開催中です。(10/21まで)

神奈川県立近代美術館の別館である葉山館は、なかなかユニークな展覧会企画が多いことで注目の美術館なのですが、東京の田舎である国立からはとても行きづらい場所なため、なかなか気になる展覧会があっても行けず、昨年の夏に開催された「視覚の実験室 モホイ=ナジ/イン・モーション」以来の訪問です。

フライヤーやサイトの印象が良すぎたので期待しすぎないよう注意していましたが、そんな心配は入場してすぐの第1展示室で吹っ飛ぶほど、大満足な展覧会でした。

第1展示室の大きな空間には白い仕切り壁の前に白い大きな直方体の展示台が2つ。
そのそれぞれの直方体のひとつにはビーズで作られた動物の脚置き(オットマン)が、もうひとつの直方体には人物像がひとつだけ。
これだけでもたせようとする空間構成も潔いですが、空間に負けないビーズ作品の存在感がとにかくスゴイ。

展覧会全体では半分以上のビーズ作品は近年の物が多いのですが、この第1展示室と第2展示室の比較的古い時代のものであろう作品だけでこの展覧会は充分な見応え、遠くまで苦労して行って良かったと思える展覧会でした。

2012年9月29日土曜日

定期購読もいいですね。


誠文堂新光社から出版されている雑誌「デザインノート」は、数あるデザイン系雑誌の中でも、ミーハー的なノリでデザインを扱うことのない比較的硬派寄りだと思っているのですが、そのため一般的にはなかなか見る人はいないだろうなといつも存続が心配になってしまいます。

現在発行されているNo.45は、「グラフィックデザインの黄金時代  デザインの巨匠たち」。
たまたま高校の授業の空き時間に図書館で手に取ったのですが、期待通りの濃い内容でした。
巻頭は「田中一光氏」からスタート。
この手の特集では亀倉雄策氏が巻頭ということがほとんどですが、ちょうど六本木の21_21DESIGN SITEで「田中一光とデザインの前後左右」展が開催中ということでの巻頭のようです。
それぞれに個人作品集があるほどの方々ですが、絶版も多いためこのような形で巨匠作品が目にできるのはとてもいいですね。

今の学生さん達にぜひ読んで欲しい雑誌だと思っています。
できれば立ち読みでなく。




2012年9月28日金曜日

実は真作を見ていた。


アート界に久々のビッグニュースが。
これまでレオナルド・ダ・ヴィンチの真作かどうかが曖昧とされていた「若き日のモナ・リザ」が、35年もの研究の末にダ・ヴィンチの真作として鑑定され発表されました。

この作品はイギリスのアイルワースで発見されたことから「アイルワースのモナ・リザ」という名前が付いていて、6月まで開催されていた「レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想 展(Bunkamuraザ・ミュージアム)」では他のモナ・リザの模写や贋作と並び出展されていたもの。

その頃はまだ正式に真作と発表される前でしたので、それほど大騒ぎではありませんでしたが、これが発表後であったら展覧会の主役作品が変わるくらいの大騒ぎで満員状態だったかもしれません。

とても空いている状態で見られたのでラッキーでした。

2012年9月27日木曜日

初回テストは△


単眼鏡の接眼レンズにコンデジを押し付けて撮影するコリメート法でのフィールドテストのため井の頭自然文化園へ。

ゴイサギ(五位鷺)のアップを狙いました。
赤い目と白い冠羽がカッコいいです。

平安時代に醍醐天皇から五位の位を賜ったというサギ。
なんでも捕まえるよう家来に命じたところ、逃げることなく神妙に捕まったことへの褒美なのだとか。
色合いがなかなか雅ですよね。

液晶ファインダーではいい感じだと思ったのですが、夕方で暗くなって来たためシャッタースピードが稼げず、ブレがありましたね。

使ったコンデジは「RICOH CAPLIO GX100」。

実はこのコンデジ、海中用に使っていた「SEA & SEA 1G(RICOH CAPLIO GX100のOEM版)」を昨年秋に山で落として紛失してしまい、海中ハウジングを活かすために本家のRICOH版の中古を買ったのでした。
写りが良いのですが、ISO100超えでは荒れが目立つため暗さに対応しづらいのが弱点。

晴れの日中テストが必要ですね。

2012年9月26日水曜日

冬にも食べたい


今年は真夏の旬の時期よりも、シーズンも終わりかと覚悟をしてからの方がとても状態の良いゴーヤーが手に入るようになりました。
ここ数日、気候は急に涼しくなったので何だか不思議ですが、まだまだ楽しんでいます。
以前は圧倒的に炒め物や焼き物にすることが多かったのですが最近は煮物にした時の青臭さのない苦味が上品に感じて結構気に入ってます。

冬に食べたいメニューですがなかなか冬場には安くて良い物が買えないので、今のうちに塩豚と煮込むのもいいですよね。次は狙います。

<ゴーヤーとエリンギの柚子胡椒煮>
沸騰した湯にナンプラー、酢を入れ、ゴーヤーとエリンギを煮る(あとで柚子胡椒の塩分が加わるのでここで塩味は決めない)。一煮立ちしたら柚子胡椒を溶かし軟らかく煮たらごま油を振る。少量の醤油で味を整える。

2012年9月25日火曜日

特殊が標準

凸版印刷の印刷博物館内にあるP&Pギャラリーで開催中の「これも印刷?!-ふしぎな特殊印刷の世界」展に行ってきました。(11/11まで)

一般的なカラー印刷物はCMYKの4色のインキで再現されていますが、発色の悪いオレンジやグリーンや蛍光色のインクを使って印刷するのが「特色印刷」。
さらに金銀やパール、ラメなどのキラキラしたインクや、触るとデコボコしている質感などを印刷技術で表現するのが「特殊印刷」。

もともとはパッケージや本の装幀などの一部で使われた印刷技術で、それなりにコストもかかる表現ですが、最近は一般的な印刷物にも多く見られる印刷表現となりました。
オフィスや家庭用インクジェットプリンタの高性能化や、デジタルメディアとの差別化といったことが要因にあるのでしょうかね。

展示物に触ってみられる上、印刷技術が簡単な図式で説明されているのでわかりやすかったです。表現としては昔からある物も多いのでわりと知っているものが多かったのですが、起毛のような布地の質感が出るフロッキー印刷が、毛を立たせるために静電気を利用するというのは驚きでした。
盛り上げのバーコ印刷はどんどん厚みが増していきますね。

学生さんには単に「面白い」、「やってみたい」だけでなく、一般的な印刷に特殊印刷を用いることでどんな効果があるのかも考察しながら見て欲しい展覧会でした。

2012年9月24日月曜日

熱と色


京野菜を多く扱うお店に行ったところ、「赤オクラ」なるものがありました。
赤と行っても赤紫がかったボルドー色。
普通のオクラと比べても高いわけではなかったので、珍し物好きとしては放っておけず購入。

まずはシンプルにと焼きオクラと思って加熱したところ、みるみる緑色に変色し斑模様に。
ちっとも美味しそうでない。

ネットで調べたら加熱すると普通の緑色になるので生食がおすすめ。とありました。

赤い色を作っているのはアントシアニンという水溶性色素で、イチゴやブルーベリーにも含まれているそうです。茹でると流れ出てしまい、加熱すると色素が崩壊するそうですが成分自体は熱変化に強いためジャムなどで摂取できるのだそうです。
でもイチゴジャムもブルーベリージャムも煮詰める過程で緑色にはならないですよね。不思議。

せっかくキレイな赤い色ですから、変色させたらもったいないので生のまま刻んで食べることにしました。
味は普通のオクラです。

2012年9月23日日曜日

新兵器


今年は何かと方面への自然観察の機会が多いのですが、観察の必需品である双眼鏡がもともと天体観察用に購入したもののため、車だけの移動ならともかく、自力で歩いて回る観察時にはとても大きくて重いのが難点でした。

そこで気楽に持ち歩けるような小型の単眼鏡を探していたのですが、様々な物を見比べ、倍率、明るさ、重さ、価格の総合的判断で「Vixenのマルチモノキュラー8×20」を購入。

このマルチモノキュラーはルーペスタンドを取り付けると高倍率ルーペとして使えるのも良さそうという判断です。

さっそくルーペとして使用してみました。
歪みも気にならない程度でこれはなかなか使えそうです。
マルチモノキュラーにルーペスタンドを付け、iPhoneを接眼レンズにあてたコリメート法で撮影。
ひとみ径が2.5mmなのとiPhoneが光学ズームできないので周辺がケラレますが、これはこれでけっこう面白いです。
フィールドテストも早くしたいのですが、今ひとつ天候が良くないですね。
古いヨーロッパの図鑑(銅版画に手彩色仕上げ)の蝶を拡大撮影。iPhoneでここまで撮れれば充分です。




2012年9月22日土曜日

解像度ではない

東京都写真美術館で開催中の「田村彰英 夢の光」を見ました。会期終了ぎりぎりの飛び込みです。(9/23まで)

写真展の楽しみは当然ながらそこに写っている世界の魅力なのですが、もうひとつ外せない魅力に「粒子」があると思います。
写真の粒子はデジタルフォト的には解像度と似ているのですが、その細かさや荒さによって表現される写真の質感は、単に細部まで表現されているという鮮鋭度とは異なる意味で、デジタルで言う解像度とはまったく異なったものとして目の前に展開されます。

今回の展覧会ではフィルムによる35mm、ブローニー、4×5、8×10からデジタルまで様々なメディアで撮影された作品が並んでいますが、作品を絵の前に観賞すると、優劣ではない違いは明らかで、まったく次元の違う表現方法という印象を受け、改めてフィルムの魅力を再発見しました。

単に大きなフィルムサイズが優れているということではなく、撮りたい物によって、写したいもの記録したいものは異なってくるということに改めて気付かされ、撮影時の工夫と撮影後の処理の違いを納得させられた展覧会でもありました。

今のデジタルしか知らない学生さんには、ぜひともサイズフォーマットの異なるフィルムでの撮影を体験させたいと思いました。

2012年9月21日金曜日

シンプルで大胆

東京都写真美術館で開催中の「鋤田正義展 SOUND&VISION」に行ってきました。
(9/30まで)

先日行った著名人のポートレートのみを集めたパルコミュージアムでの展覧会との同時開催ですが、こちらは鋤田正義氏の全仕事から300点以上を集めた回顧展です。

写真の展覧会というのは、プリントがパネル仕上げ(または額装)になって壁に掛けて展示されていることがほとんどですが、今回の展示ではちょっと大胆な展示方法。

会場に入るとテーマに沿って細かくブースが作ってあって、混雑時は大変だろうなという感じの作り。
ところがいくつかのブースを見た一番奥にはメインの広い展示室があり、ロール紙に大判プリントされた写真がそのまま床から天井付近まで届き、更に展示室中央には上面にモノクロームのポートレートがプリントされている大きな直方体が置かれた展示空間。
最新技術でも凝った装置でもないのにとてもシンプルで素晴らしい展示方法でした。

動画ブースでは鋤田正義が撮影を担当した映画やPVが上映。
寺山修司氏の映画「書を捨てよ町へ出よう」からの抜粋映像があるかと思えば、AKB48の「桜の木になろう」のPVまでありました。「桜の〜」はTVで目にすることはありましたが、ちゃんと見たことはなかったので、思わぬ所でストーリーを全て知る事に。それにしてもこのPVに出てくる学校の桜は絵になりますね。


2012年9月20日木曜日

影響力

このところ知人が貸してくれた漫画にはまってます。
講談社のモーニングで連載されている「とりぱん」という漫画。

東北に住んでいる作者が庭先に野鳥のためのエサ台を作成して観察している様子がおもしろおかしく描かれている4コマ漫画ですが、野鳥の「性格」の表現がとてもスゴイ。

東京の街中では見られる野鳥は限られますが、それだけでも実際にその野鳥を見つけると、この漫画内で描かれる性格の凄さが良くわかります。

秋になって広葉樹が落葉しはじめると、樹々にとまる野鳥が観察しやすくなるのでこれからの時期は楽しみです。

漫画の影響で、寒くなって木の実や虫などの餌が減ったら、ベランダにエサを吊ろうかと本気で考えてしまいました。

2012年9月19日水曜日

サカサクラゲのその後

先日のサカサクラゲはやはり褐虫藻の光合成に頼ってばかりもいられないようなので、エサやりを検討。
ブラインシュリンプを孵化させてやることにしました。

ブラインシュリンプというのはプランクトンの一種でごくごく小さいエビの仲間。アルテミアというのが正式名。
こどもの頃の科学雑誌の付録で付いていた「シーモンキー」も、アルテミアをより飼育しやすく改良したものなので仲間です。

条件を整えてあげればほぼ24時間で孵化するので、あとはスポイトでやるだけ。

こう書くととてもシンプルですが、海水であること。酸欠にならないようポンプでエアーを送る必要があること。自宅で飼育ではなく「お見舞い」で持って行ったサカサクラゲなので病室で餌やりをすることなどなど、とても大変でした。

それでも一度やってみたので、2度目からは少し馴れると思いますが。まだまだいろいろ工夫が必要ですね。

どうやって食べるのかな?と思っていたサカサクラゲですが、触手にくっついたのを捕食しているようです。
せっかくなので動画撮りました。


2012年9月18日火曜日

伊で誕生。独で生まれ変わり

旧知の友人がはじめてリアルkitaCafeにご来店。
イタリア土産をいただきました。
どうもありがとう。

イタリアの代表的なリキュールである「カンパリ(Campari)」を炭酸水で割った「カンパリソーダ」。
細い円錐のプレスボトルに透明感のある赤いカンパリソーダが詰まっていて、とてもカワイイデザインです。

このボトルデザインはイタリア未来派のデザイナーであるフォルトゥナート・デペロ(Fortunato Depero)が1932年デザインしたもの。

日本ではソーダ割ではない「CAMPARI」を輸入販売しているサントリーが、10年以上前に一時的に輸入販売していたのですが、現在ではほぼ日本で手に入れることは無理なので、とても貴重なコレクションになりました。

ところでこのボトルはドイツ出身の照明デザイナーであるインゴ・マウラー(Ingo Maurer)氏の手によって、「カンパリライト」というかたちで現在でも日本で割と頻繁に見ることはできます。
透明感のある赤が光に透けてとても美しいペンダントライト。
お目にかかれても手は出ないですが。


2012年9月17日月曜日

完成で歓声!


週末にデザイン学校の恒例ワークショップである「ペットボトルパッケージラベルデザイン制作」を行ないました。

実はこの夏休みの期間は、デザインカレッジの本拠地である校舎の改修・改装工事が行なわれていて、ついこの間終了したばかり。2週間後の後期授業開始にむけて、きれいになった教室内ではPC環境の復旧作業が急ピッチで行なわれている状態。

ほぼMacのLANは復旧しましたが、プリンタ環境がまだ不安定。ワークショップに支障が?と心配もされましたが、そこはデザインルーム。
制作のピーク期に備えてプリンタが3台もあるので、ワークショップは問題なく実施できました。備えって大事です。

さて。授業ではパッケージデザインというメディアの概要解説を行い、いよいよ制作開始。
どんな飲み物にする?購買層は?など様々な条件を想定してネーミングからデザインのコンセプトを決定しデザイン制作。
技術面では在校生に補助してもらい、楽しくワイワイガヤガヤしながらデザインを完成させました。

画面でデザインを確認して、いざプリント。
紙ではなくフィルムにプリントするのでよりリアルな仕上がり。ペットボトルに巻いて完成した作品に思わず歓声が上がりました。
ちょっと甘い香りのリンゴフレーバーの紅茶は「りんご茶ん」。キャラクターもカワイイです。
阿蘇の天然水で作ったサイダー「ASODA」。冗談みたいなネーミングですが大人向け商品。広大な阿蘇山のイメージを大切に写真を横倒しで使っています。

2012年9月16日日曜日

タンパク質分解。

鶏のササミは上手く加熱しないとパサパサしてしまうので、それなりに気を使う食材ですが、鶏肉の中では極端に脂肪分が少ないので、とても良質なタンパク源として重宝する食材でもあります。

そのタンパク質を分解するプロテアーゼという酵素を含み、旨味を引き出す上、肉などを軟らかくしてくれるはササミ料理には必須な調味料ですね。
ただ塩麹漬けは塩分が気になるので、キツくならないよう他の食材と混ぜる料理が特に良いみたいです。

塩麹漬けのササミをマイタケと一緒に焼いて大根おろしで和えました。食材の焼き目と馴染む焼き色のついた厚手の粉引き風白皿に盛っています。
焼き物は繊細な器よりもざっくりした作りの皿がよく合いますね。

<ササミとマイタケのおろしがけ>
塩麹に一晩漬けたササミは一口大に切り、ごま油を引いたフライパンでマイタケと一緒にじっくり焼き目をつけて焼く。皿に盛ったら大根おろしと混ぜ、ネギを振る。
ポン酢をかけるとさっぱり。

2012年9月15日土曜日

懐かしすぎ


渋谷のパルコミュージアムで開催中の『鋤田正義写真展「きれい」』を見てきました。(9/17まで)

東京都写真美術館の「鋤田正義展SOUND&VISION」との同時開催ですが、パルコミュージアムは有名人のポートレートのみ。

会場のスペースが狭いこともあって出展数が少ないため、ちよっともの足りない感もありますが、70年代から80年代のレコードジャケット(CDではなく)にあった写真の数々が登場しているので、ある意味「濃い」展覧会です。

写真美術館にも早く行かないといけません。こちらは9/30まで。

一番懐かしいのはYMOの「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」のジャケット写真。
ちょっと感動ものでした。




2012年9月14日金曜日

大変は実は楽しい。


デザイン系高校のデッサンの授業では先週から室内空間のデッサンをしています。
高校内のロビー空間はガラスブロックの壁面のある吹き抜けで、アーチ円柱もあって描きどころ満載。
更に壁面が曲面だったりするので難しい部分も多いのですが、それが魅力でもあります。

デッサンに取り組んでいるのはインテリアの学習をしている生徒達なので、図面的な学習は充分してきているのですが、実際の空間を目の前にしたデッサンでは、視覚的情報に惑わされてだいぶ苦労した様子でした。
目に見える形態だけでなく基準となる水平垂直を構図の中に見つけ、そこから視線を展開できるようなシステマティックな見方が必要な反面、初めにここから描きたいと思った印象を心に留め、肩の力を抜いてゆったりと空間を描こうとする意識も大切。

結局デッサンの学習は描き方という技巧ではなく観察の仕方を学ぶのだということなのでしょうね。

課題とか受験とかそういった足枷がなくなるとデッサンは味が出てきますが、高校生にはきっとまだわからないですね。
まずは「ああでもない」「こうでもない」という過程を少しでも楽しんで描きましょう。

2012年9月13日木曜日

変色待ち


まもなく完成する東京駅舎
赤煉瓦とともに注目したいのが銅板。

今回復元されたドーム部分の窓枠周辺の壁をはじめ、尖塔の屋根葺きや軒蛇腹などに使われていますが、復元前にも南北の時計周辺の軒蛇腹や尖塔などに存在した銅は、改修に入る前には緑青が吹いて白っぽい緑色をしていました。

今回の復元改修では一旦銅板部分はすべてピカピカの状態で葺かれ、古色感のための人工的な緑青吹きも行なわれなかったため、もともとあった造形部分でも随分印象が違います。
この銅板にすっかり緑青が葺くまでにはどれくらいの年月がかかるのでしょうか。それまでは茜色の銅板と赤い煉瓦の色合いが華やかな印象を与えてくれますね。



復元改修前の銅板部分
(フリー素材)

2012年9月12日水曜日

不思議でスゴイ。


先日、バーナード・リーチ展を見に日本橋へ行ったついでに、東京丸ノ内まで行って東京駅舎を見てきました。

まだ工事は完了していませんが、外観はほぼ完成らしく、工事囲いも随分外され、西日が赤レンガを更に鮮やかに染めていました。

この赤レンガ。1.2階部分はそのままに3階部分が復元されると聞いていたので、境目が目立つのだろうと想像していましたが、ほとんど違和感がないところが凄い。というか何で境目がないの?

事前知識が曖昧でしたので調べたところ、もともとのレンガと同じ色と質感、更に汚れまで再現という要求に、受注された常滑のメーカーが研究を重ねて再現したということらしいです。
しかも300m以上ある駅舎の外壁は建設当時の窯の性能のせいで北側、中央、南側で随分色ムラの出方が違っていて、それを数値化し分布図を作り色ムラを再現したというのですからものすごい労力とこだわり。

遠目で見たレンガだけでも不思議と凄いが詰まっていましたので、まだまだ細部にも注目していきたいですね。

今回はiPhoneしか持参していなかったので、望遠レンズで再撮影に行かねばと思いました。

2012年9月11日火曜日

英国と日本



日本橋高島屋で開催されていた「バーナード・リーチ展」に行ってきました。(9/10で会期終了しました)


バーナード・リーチ氏は英国セント・アイヴスを拠点に作陶を続け、15回にも及ぶ来日の中、ヨーロッパの伝統的な陶芸技法の緩く溶いた陶土を化粧に用いたスリップウェアなどを日本の陶芸と組み合わせたり、英国の工房に日本の登り窯を気付いたりするなど、東西の架け橋となる制作活動を続けた陶芸家ですが、英国の美術学校で学んだあと22歳でエッチングの講師として来日した際の楽焼きの絵付け体験が陶芸に興味をもったきっかけというのですから驚きです。

風景や自然をモチーフにした特徴的な絵付けが印象的なバーナード・リーチ氏ですが、何と言っても動物のおおらかでユーモラスなフォルムは魅力です。

数点の作品に登場する絵皿に帽子をかぶった男性が両手にブドウのようなものを提げている図柄のものがありました。キャプションは「玉葱売り」。とても微笑ましい図柄でした。

展覧会の会期は終了しましたが、今年が生誕125年ですからまだまだ見る機会はありそうです。

展覧会会場で上映していた映像にバーナード・リーチ氏が指導に訪れた島根県出雲市の出西窯という工房が登場していました。
この窯は現在でもスタンダード商品としてバーナード・リーチ氏の指導によって生まれた陶器の制作を続けているようです。



2012年9月10日月曜日

山の茶屋


今年の夏は海へ行けなかったということもあって、代わりという訳でもないのですが山へ行くことが多くなりました。

昨年の夏にも行った御岳山の別コース。一般的なコースはケーブルカーで831mまで行き、徒歩で山頂の御嶽神社を参拝し、そのあと渓流沿いに歩くというものですが、今回はJR中央線の青梅線御嶽駅からスタートして御岳山に登り、御嶽神社の手前の分かれ道から南の方角にある日の出山の登山道に入って五日市線五日市駅まで抜けるコースをはじめて歩きました。
御岳のメインコースは訪れる人も多いのですが、こちらはとても静か。
途中で小鳥が群れて鳴く声を聞きながらのんびりハイクでした。

御岳山から日の出山への分かれ道があるあたりは御嶽神社に向かう参道の土産物屋が並ぶ地域の少し手前。昨年行った時にちょうどそのあたりにある茶屋「古狸山」の軒先で細長いミニトマトを桶で冷やして売っていて、これが暑い山道を歩いた身体にとても染み込んで美味しかったので実は今回も期待。

ラッキーなことに今回もまだ売っていました。
変にパック詰めされたりしていないところがいいです。
氷がペットボトル入りでなければ言うことなしなのですが、それでも充分贅沢な気分になれました。


2012年9月9日日曜日

苦味+辛味

夏休みのお土産に「かんずり」をいただきました。
新潟の妙高でつくられている唐辛子に麹や塩などを加えた発酵調味料で、唐辛子のアク取りと辛みをマイルドにするために雪の上にまく製法で有名。
真っ白な雪の上に真っ赤な唐辛子が散っている様子は写真で見てもとてもきれいです。
これまで使った事のない調味料で、中華調味料の豆板醤に似た感じかと思っていましたが、旨味がある感じでしたのでちょっとしたアクセントに何にでも使えそうです。

今年はもう諦めかけていたゴーヤーの良いのが手に入ったので、かんずりを加えた味噌煮にしてみました。
ゴーヤーの苦味とかんずりの辛みがいい感じです。

<ゴーヤーとピーマンの味噌煮>
ゴーヤー、ピーマンは細切りにして出汁、砂糖、味噌で煮る。ほとんど水分がなくなるくらいになったらかんずりを加えて混ぜ合わせさらにひと煮立ちさせる。



2012年9月8日土曜日

姿を見たい


はえ縄漁などで獲れる深海魚のマンダイ
漁獲量が安定しないためあまり見かけませんが、高級寿司種でもあるようでなかなか美味な魚。

以前はじめて魚屋で並んでいた時にはその場でネットで調べて、リュウグウノツカイの仲間と知って驚いた魚。

やや赤みのあるカジキマグロのような感じの切り身でしかお目にかかったことがないですが、銀色の胴に赤い鰭を持つ姿は長さこそ短いものの、リュウグウノツカイの仲間というのが納得の色合いなので、一匹丸ごとを一度見てみたいです。

シイタケ、エリンギに蕎麦の実を加えた醤油ベースのソースで照り焼きにしました。

<マンダイの照り焼き>
マンダイは両面に塩をしておいたあと水分を拭き取り、油を引いたフライパンで焼く。片面が焼けたら細切りのシイタケ、エリンギを加え一緒に焼き、醤油、砂糖、茹でた蕎麦の実を加える。

2012年9月7日金曜日

常設展の魅力


先日見に行った「ベルリン展」は上野の西洋美術館の企画展ですが、このチケットで常設展にも入場できます。

何度も見ている常設展ですが、企画展が開催される地下の機能的できれいな企画展示室がどうも馴染めないので、コルビュジェ氏が基本設計をした本館や前川國男氏設計の新館を見ることにしました。

以前はこの新館が企画展示で、本館のみが常設展示でしたが、本館は大きな作品の展示が難しくそれほど広くない回廊式の展示室なため、現在の贅沢な常設展はかなりいい空間で落ち着けます。入口が本館の吹き抜けのある彫刻室からというのも良い動線です。

ここ数年、世界のコルビュジェ建築群と共に世界遺産登録を目指す西洋美術館。建築探検マップやミニチュアペーパークラフトなど頑張っているようですが、なかなか浸透していないようですね。

建物外観のロダン作品とのコントラストもとても良いのですから、もっと積極的にツアーなどやればいいのにと思ってしまいます。

天気も良かったので、持っていたiPhoneで撮影。もう少し広角が欲しいところです。

ブロンズ彫刻の明暗や建築との質感がきれいなので撮影後にモノクロ加工しました。
本館は2階部分から正面に伸びる階段の造形が美しいのですが、入場者が混雑行列した際の雨よけテントがあって台無し。
建物の魅力を伝えているのですからもう少し配慮が欲しいところですね。
ロダンの「考える人」を見ながらの西洋美術館本館。
これだけ有名な作品ですが見ている人はいませんでした。

ロダンの「地獄の門」を見ながらの西洋美術館本館。

豪華な免震展示台に乗っています。
撮影している背面奥に喫煙場所があるので、そこに行く人がこの前を通る程度。
写真の下部に雨よけテントの屋根があるので構図を外しました。

2012年9月6日木曜日

予定にない


西洋美術館で開催中の「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」に行ってきました。(9/17まで)

副題に「学べるヨーロッパ美術の400年」とあるように15世紀から18世紀までの西洋美術の通史が見られるという展覧会です。

この展覧会の目玉は初来日となるフェルメールの「真珠の首飾りの少女」。同じ上野の東京都美術館で開催中の「マウリッツハイス美術館展」には「真珠の耳飾りの少女」が来ているので、世界に30数点しかないフェルメール作品の2点が現在上野にあるというものすごい密度です。実はあまり時間がなかったので、「フェルメールだけでも見ておこう」というミーハー気分で行ったのですが、他の作品にはまってしまい、ちょっと予定外の行動となってしまいました。

予定外となった理由は全般的に彫刻作品がとても面白かったこと。中でも15-16世紀にドイツで活躍した彫刻家ティルマン・リーメンシュナイダーとその工房の彫刻作品にも見られる、祭壇用の菩提樹材の木彫作品。木彫というと東洋美術を思い浮かべてしまい、これまであまり意識していなかったのですが、教会の祭壇などには確かに木彫作品があったかも。木彫独特の細かい造形が新鮮でした。そして西洋彫刻の代表的素材の大理石彫刻では18世紀の額装されたレリーフ「エビと魚のある静物」が「蟹の化石」の浮き彫りを思い出させる造形で一押しな作品です。
こういう新しい発見があるのも展覧会の楽しさですよね。

>>マウリッツハイス美術館展のレビュー



2012年9月5日水曜日

備える


9月です。
高等学校は2学期が始まりました。

今年は1日、2日が土日でしたので3日の月曜日から2学期はスタート。
初日は始業式なので月曜日の授業は来週開始となり、ちょっとだけ準備時間があります。

作品作りの授業はいろいろと素材やら道具が必要となるので、その確認も大変。
別の曜日に同じ授業を担当する講師の先生と一緒に、ひとつひとつ確認をして来週からの授業に備えました。

1学期は金工でしたので2学期は木工。
作品制作を通して素材の特性や道具についても学びます。

あとは授業手順の確認だけ。
具体的な手順を考えると生徒一人一人のリアクションなども想像できます。
けっこう裏切られるのですが(良い意味で)。

さあ。2学期も気合い入れて頑張ります。

2012年9月4日火曜日

平面から立体へ


竹尾見本帖本店で開催中の「紙とデジタルファブリケーション」を見て来ました。(9/7まで)

PCで描かれた図形を自動でカットするデジタルカッターの刃先を様々な手作りのヘッドに交換することで最終的に折り目を付けることに成功し、その折り目に沿って紙を折ることで紙の立体化を試みたプロジェクトの展覧会です。

一般的に紙の折り加工には専用の金型を作る必要がありますが、デジタルカッターを応用しているので金型がいらないというのがこのシステムのすごいところ。
しかもPCからすぐ出力できるので、スタディがスピーディーで簡単。

展覧会の作品以上にこのシステムに可能性を感じるという企画で、見本帖本店展示にしては珍しい内容でした。

毎日13:00からは実際にPCからの出力ができるようでした。

2012年9月3日月曜日

涼しかったので。


この2日間は晴れ間が広がったかと思うと雷雨になり落ち着かない天候でしたが、夏の日差しで蓄熱されたコンクリートが雨で冷やされたのか、とても過ごしやすい気温でした。

とは言え、外出向きではない空模様なので室内で普段できないこと、しかも暑いとやる気のでない磨き仕事をやって過ごしました。

もともと金属磨きはけっこう好きなので、鉄のフライパンをピカピカに磨き上げることはよくやっていたのですが、普段「磨く」ということにあまり意識がいかない「テーブルと椅子の脚」に注目。

フライパンや水道の蛇口のように水場で使う物ではないので、汚れは付きにくいのですが、空気中の湿気やほこりなどでいつの間にか曇ってしまうので、しっかり磨き上げました。

金属の光はとても気持ちいいですね。



2012年9月2日日曜日

オランダの赤


見た目がきれいでビタミンなどの栄養価が高いトマト

日本で一般的なトマトは大玉なのでカットしないと食べられないですが、小振りなミニトマトは一口サイズで丸ごと使えるので見た目にもカワイイですよね。
最近は大玉トマトとミニトマトの中間の大きさであるミディトマトも割と多く見るようになりましたが、小分けではなく房状に付いたままのものが多く、それだけで美味しそうに感じてしまいます。

このミディトマト。
大玉よりも味が濃く栄養価も高くて、果肉がしっかりしているのが特徴。
皮を剥いて丸のまま使用する調理に向いていますね。

ミディサイズでよくみかけるフルーツトマトというのがありますが、これは品種の違いではなく、より水分を減らして栽培し糖度を高めたものだそうで様々な品種で栽培が可能なのだそうです。
オランダ生まれのファン・ゴッホという品種のミディトマトが売っていました。
ネーミングがとても気になります。

<トマトとアスパラのお浸し>
皮を湯むきしヘタを取ったミディトマトと、フライパンで焼き色が付く程度に焼いたアスパラを出汁に浸け冷蔵庫で冷やす。


2012年9月1日土曜日

野菜野菜。

今更ですが夏バテ気味。
食事はしっかりと思いつつ、肉っ気がちょっとつらい感じです。
ふだんから野菜の摂取は少なくないと思うのですが、かさを減らした煮込みは栄養も逃がさず量もたくさん食べられるので、野菜カレーでビタミン充填。
料理研究家ウー・ウェンさんのレシピがベース。カポナータのカレー版みたいなものです。

<野菜だけのカレー>
タマネギはさいの目にカットしてごま油で炒める。透きとおってきたら、同じくさいの目にカットした他の野菜(ズッキーニ、パプリカ、ナス、ニンジン)を加えて10分程度炒めたら酒をまわしかける。乱切りのトマト、鶏ガラスープの素を加え蓋をして30分くらい煮込む。野菜からしっかり水分が出るまで煮込んでカレーペーストを加えて、塩コショウで仕上げる。(加える水分は酒のみ。あとは野菜から出る水分だけ)