2012年8月31日金曜日

みんな作った。


8月の後半の数日間、保育士や幼稚園の先生を目指す学生さん達を対象に子どもの造形教育に関する実技の授業を実施しました。

教育というといろいろと難しいことを言いたくなりますし、実際多くの子ども達に接する現場では注意することや事前に準備することも多くありますが、長く子どものための造形教室に関わって学んだことは、何よりも子ども達と「本気」で接することの重要さ。

保育士や幼稚園の先生を目指す学生さん達はみんな子ども好きですが、必ずしも絵や工作が得意なわけではないので、作り方が決まっていれば作れても、アイデアからとなると手が止まってしまう学生さんも。すぐに先に進めなくても、本気で子ども達と一緒に悩んだり考えたりできるようになるといいですね。

2年目の学年にはよりストーリー性を求め、手人形を製作しました。



サンプルで製作したもの。葉っぱの手が動くヒマワリと口パクのヘビとカメレオン。

2012年8月30日木曜日

愛すべきカワウソ

環境省が国の特別天然記念物の「ニホンカワウソ」を「絶滅種」に指定したというニュースがありました。1979年以来目撃例がないということですから、事実上の絶滅はもっと前。

日本のレッドリストの絶滅種にこれまで指定された哺乳類は「ニホンオオカミ」、「エゾオオカミ」、「オキナワオオコウモリ」、「オガサワラアブラコウモリ」の4種類ですが、いずれも明治時代以前には絶滅していたとみられるもので、「ニホンカワウソ」のように昭和まで生息が確認されていた哺乳類が絶滅種に指定されるのは今回がはじめて。

今回のニホンカワウソは毛皮のための乱獲と生息環境の破壊という完全に人為的なものですが、こうした原因以外にも外来種による日本の動植物への驚異も見逃せない事実。数年、十数年の単位でまだまだ絶滅種は増え続けることでしょう。
何かが起きないと話題にもならない現状から、もっとみんなが関心を持つようになるにはまだまだ時間がかかるのでしょうか。

ニホンカワウソも西湖で生息が確認されたクニマスのように、どこかでひっそりと生息していて欲しいものです。

多摩動物園にはアジアのカワウソであるコツメカワウソが飼育されています。細長い胴体とコミカルな動作、カワイイ表情がたまりません。


2012年8月29日水曜日

そろそろか?

8月もあと数日。ゴーヤーの夏もそろそろ終わりでしょうか。
個人的にはまだまだ暑いので全然いけるのですが、急に良いゴーヤーが並ばなくなるので駆け込み気分です。

ゴーヤー料理の定番のゴーヤーチャンプルーは、沖縄の家庭料理の定番でもあるため各家庭や各飲食店でレシピが様々。
実際kitaCafeでもその時々でいくつかのバリエーションがありますが、大きな違いはやはり卵。

卵入りと卵なしはまったく別の炒め物に仕上がるので不思議です。

豆腐と卵が絡んだチャンプルーもマイルドでとても美味しいのですが、卵なしでゴーヤーの苦味がしっかり感じられるチャンプルーも美味しいです。

<塩豚のゴーヤーチャンプルー>
豆腐は沖縄の島豆腐がベスト。油を引いたフライパンで豆腐を大きめに崩しながらしっかり焼き、一口大の塩豚を入れ炒め、ゴーヤーや他の野菜、キノコ等を加える。
塩豚の味により塩コショウで味を整える。



2012年8月28日火曜日

残りものの刺身


冬のイメージが強い魚のひとつにブリがありますが、この出世魚の少し小振りなワラサは夏場が旬だそうです。

魚屋さんで美味しそうなワラサが出ていたので刺身でいただきましたが、あまりの大きさに食べきれず、残りをマリネにしました。
アップルビネガーを混ぜて少し甘めに仕上げています。

魚のマリネはさっぱりして美味しいですよね。
新鮮な魚はついつい「刺身で醤油」となりがちですが、このひと手間を惜しまずに「翌日のマリネ」をもっと増やしたいと思いました。

夏のワラサは油が少ないので、もう少し薄切りでオリーブオイルも多めにしても良かったかもしれません。

<ワラサのマリネ>
刺身の残りのワラサには軽く塩をしておき、水分を拭き取っておく。米酢、アップルビネガー、アルコールを飛ばした白ワイン、塩、ディルに漬け込む。
マスタード、ビネガー、オリーブオイルを混ぜて掛ける。

2012年8月27日月曜日

あの夏を思い出す。


デザイン学校のグラフィックデザイン専攻では今年度も卒業制作が始まりました。
今年度のテーマは「夢見るデザイン」。
まだまだ始まったばかりですが、学生さんたちはどんな風にこのテーマに取り組んで行くのか期待です。

グラフィックデザインと一口に言ってもそのメディアはとても広く、最近はスマートフォンのアプリケーションデザインなどもカバーするため、学生の作品はとてもバリエーションが豊富です。

思えば20数年前の自分も卒業制作では紙媒体ではなく写真を用いたドキュメンタリー映像作品でした。
当時、卒制に映像を選んだのは、大学3年の時にグループ課題で制作した、スライド写真を用いたドキュメンタリー映像での取材や過程が楽しかったことがきっかけ。

静止画はビデオなどの動画では見落とされてしまいがちな画像の説得力があります。ただスライド写真の投影では、コマを送る際にかならず黒い画面となるため、前後の繋がりが分かりづらいというのが難点。
この難点をカバーするのがマルチスライドという仕組み。
複数のプロジェクターを用いて、片方のプロジェクターが黒い画面の時はもう一方のプロジェクターで画像を投影できるので画面の分断が少なく、またあらかじめ投影時間や送り出しのタイムを記憶させるので、現在のPCのスライドショーに音声が同調しているようなことがるという優れた装置。

このマルチスライドで3年の時に制作したのが、「玉川上水」をテーマとしたドキュメンタリーでした。

玉川上水は江戸時代の水道の役割として引かれた上水道ですが、不要となってからは水のない枯れた壕だけが残っていた遺構で、その年に東京都の清流復活事業により21年ぶりに水を流そうということが決定していたのですが、当時の自分たちには「清流復活」といいながら流す水は「下水処理水」という「とっても人工的な水」ということに引っ掛かったので、地元の人達はどう感じているのか?を取材してまとめようというのがきっかけでした。

カメラを持って撮影しては、新宿や青山のラボに現像を依頼する繰り返しの毎日でした。

今では水が流れていることが当たり前の風景になっている玉川上水に清流が復活したのが1986年の8月27日でした。
あの日、枯れていた壕に早朝撮影のために降りたことを思い出した夏の終わりの1日です。
清流という名の下水処理水が流れることが決まっていた1986年。
早朝の暗いうちから壕の底へ降りて明るくなるのを待って撮影。
学生時代の貴重な体験です。

2012年8月26日日曜日

とても標準


今年の夏は文字デザイン関係の展覧会が多いということをつぶやいていたら、学生時代からの知人から「ヘルベチカ(Helvetica)のDVD」を観た事ありますか?とのメッセージをいただきました。

ヘルベチカは1957年にスイスのハース鋳造所の手組み用活字として発表されて以来、今でも世界中でもっとも使われているサンセリフのフォントですが、2007年に誕生50周年を記念してドキュメンタリー映画が制作されました。

映画の存在は知っていましたが、DVDに(それも日本語版に)なっていたのは知らなかったので早速貸していただき観賞。
タイポグラフィ界の著名人が登場してヘルベチカを語るというなんとも贅沢な映像でした。特典映像では本編で使わなかったインタビューでの話があり、こちらがまたとても良いです。知人に感謝です。

出演者の一人にオプティマ(Optima)やパラティノ(Palatino)のデザインで知られるタイポグラファーのヘルマン・ツァップ(Hermann Zapf)氏が登場していました。
もう90歳を超えていると思いますが、学生時代に講演会に行ったのを思い出しました。当時デザイン関係のドキュメンタリーの映像ビデオなどはほとんどなく、講演会にでも行かないと話を聞くことはできない時代でしたから貴重な体験だったことを覚えています。



2012年8月25日土曜日

ちゃんちゃん。


先日、冷蔵庫に保存してあるのを思い出した塩麹
生鮭を浸けておいたので調理しました。

サケはこれまで味噌漬けにするのが一番と思っていましたが、塩麹漬けもなかなかなものです。
どちらかというと夏場は塩麹漬け向き。冬は味噌漬け向きという気がしないでもないです。

味噌漬けを思い出したからでしょうか。ちゃんちゃん焼き風にキャベツと一緒に蒸し焼きにしてみました。

<鮭の塩麹漬けちゃんちゃん焼き風>
塩麹に漬けた鮭は焦げやすいので、刻んだキャベツで包む感じで少しだけ酒を加えて蒸し焼き、最後に焦げ目を付けます。
何も加えず塩麹の塩分だけで充分。

2012年8月24日金曜日

真っ黒に仕上げた


小さい種にとても栄養を多く含むゴマ。
ビタミンAB1B6Eカルシウムマグネシウムなどを豊富に含んだ栄養素の宝庫ですが、さらにゴマの抗酸化成分リグナンに多く含まれるセサミンは肝機能強化や動脈硬化予防の効果が期待できると注目の成分。

白、黒、金などの種類がありますが、風味の違いはあっても栄養価的には黒ごまにポリフェノールが比較的多いという他には、さほど違いがないようです。

1日の摂氏量の目安は10〜15gということですが、これは大さじ1杯半程度。けっこうな量です。

擦って野菜などと和える調理法が多いですが、メインにこれでもかというくらいたくさんのゴマを使うメニューがあるので、久しぶりに作りました。

黒ゴマで作ると真っ黒でなかなか迫力。白黒混ぜた斑もおもしろいです。

<豚ヒレのゴマ衣焼き>
豚ヒレ肉は食べやすい大きさにカットし、水溶き片栗粉にくぐらせゴマをまんべんなく付ける。
フライパンに油を引いてゴマが焦げないように両面を焼く。
照り焼き風、大根おろしポン酢、バルサミコなどでいただく。

2012年8月23日木曜日

浮遊しない

病院のお見舞い用に「水替え不要、エサの心配なし」のアクアボトルを探していたところ、吉祥寺のインテリア雑貨ショップで「サカサクラゲ」を見つけました。

サカサクラゲは普通のクラゲがさかさまになった状態で砂の上を泳ぐクラゲで、体内に褐虫藻が共生して、その褐虫藻の光合成によって栄養素を得ているため、光合成しやすいようにさかさまになっているというわけです。
この姿を見るとクラゲがイソギンチャクの仲間ということがわかりますよね。
以前に江ノ島水族館でイソギンチャクとサカサクラゲを並べて展示していたのを思い増しました。

もっとも褐虫藻だけでは養分が十分ではないようなので、まったくエサなしというわけにはいかないようですから、プランクトンを与える必要があるようですから、そのうちエサの心配もしないといけませんが。

小瓶の中でたまにフカフカする姿がとてもカワイイので家にも欲しくなってしまいました。


2012年8月22日水曜日

酸性のマゼンタ


今年の夏は例年以上に暑さが厳しく感じられますが、毎年そう思っているのでこのまま行くと本当に蒸発してしまうのではないかと心配になります。

汗をかくだけでもエネルギーが消費される上、湿度が高いので体に熱がこもってしまう日本の夏は、疲れがとても溜まりやすいですから意識して疲れがたまらないようにしないと大変。疲労回復のために糖をエネルギーに変換してくれるクエン酸が夏にはとても効果があります。

クエン酸が多く含まれる
梅雨の頃につけてそのシーズンに楽しめるのが気に入って、ここ最近は梅酒ではなく梅シロップを作っていいましたが、今年は梅雨時期に作り損なってしまって、クエン酸不足の夏を覚悟していました。
ところがたまたま露店の野菜売りで赤シソの束を売っていたのを見て、Mid先生がオススメしていた赤シソジュースを思い出したおかげで、クエン酸補給もバッチリ解決。
とても簡単なので定番になりそうです。

しかも赤シソに多く含まれるアントシアニンという色素は、アレルギー予防、疲労回復、視力向上などの薬効効果がありクエン酸効果とダブルで夏バテ対策に期待できます。

それにしても赤シソを鍋で煮てできた煮汁はほとんど黒に近い濃い青緑の液体で、それがクエン酸を加えると、一瞬で澄んだマゼンタに変わるので劇的です。
分子構造中の電荷の違いによって色が変わるアントシアニンの性質によるもので、アルカリ性に近い中性で青黒っぽかった色が、クエン酸を加えることで酸性となり赤く変化します。赤シソジュースはや梅干しなどではキレイなマゼンタに変わるのでいいですが、逆にアルカリ性を多く加えると青黒っぽく変化するので食べ物では残念なことになりそうですから注意ですね。




2012年8月21日火曜日

追加の1品

塩麹を使うのを忘れていました。

ゴーヤーとキャベツの塩麹和え
20分くらいで食べごろになるのが良いです。

必須アミノ酸が、9種類含有で、栄養だけでなく酵素の作用や乳酸菌や酵母の働きが身体に良いというのもいいですね。
身体に良く効かせるためのポイントは毎日食べる事だそうですが、塩の摂りすぎにならないように注意が必要ですね。

2012年8月20日月曜日

生搾り

このところ近くのスーパーでも沖縄の島豆腐が買えるようになりました。

一般的な豆腐の「煮搾り」に対して、島豆腐は昔ながらの「生搾り」。すりつぶした生のままの大豆を加熱せずにそのまま搾って豆乳とおからに分けて、豆乳だけを煮る製法。ゆっくり搾られる豆乳は雑味が残らず、大豆の風味が自然のまま感じられるのが特徴です。

水分が少ないのでのイメージですが、そのまま食べても美味しい豆腐ですから、いろんな調理に使えます。

ゴーヤー宣言をしたので冷蔵庫にはいつでもゴーヤーがありますから、ゴーヤーチャンプルーとも思ったのですが、豚肉がなかったので島豆腐を崩して、くりぬいたゴーヤーに野菜と一緒に詰めて煮てみました。

<ゴーヤーの豆腐詰めの煮物>
水切りした豆腐は崩して、パプリカとネギ、シメジのみじん切り、かたくり粉少量を加えて混ぜ合わせる。
輪切りのゴーヤーにかたくり粉を薄くまぶし、豆腐を詰め、フライパンで焼く。豆腐に焼き色が薄くついたくらいで醤油味の出汁を張って弱火でゆっくり煮る。出汁はゴーヤーがかくれるくらい。静かに煮ないと豆腐が崩れるので注意。

2012年8月19日日曜日

合わせ効果

夏は豚肉ビタミンB1が豊富で筋肉に溜まっていく疲労物質、乳酸を取り除くので夏バテにもとても有効。
良い肩ロースがあった時は塩をして寝かせた塩豚を作っておきます。冷蔵庫で5日程度。熟成されている期間も楽しいものです。

ちょうどいい感じに熟成してきたものがあったので、キャベツと一緒にミルク蒸しにしました。

熟成した豚肉の旨味にキノコの出汁、キャベツの出汁、バター、牛乳が合わさることで、旨味と深いコクが合わさってとても美味しくなります。
あっさり味が続く夏場ですが見た目ほど重くない、ほど良いこってり感なのでたまにはいいですね。

トマトソースの残りで和えたショートパスタ添えで見た目も豪華になりました。

<塩豚とキャベツのミルク蒸し>
鍋にオリーブオイルを引きニンニクを炒め香りを移したら取出す。薄切りのシイタケを炒め白ワインを加え、塩豚を乗せたらキャベツで蓋をするように包んでいく。
ディルを加えて蒸し焼きにしたら、バターを加え、溶けたら牛乳を加えてひと混ぜする。塩コショウで味を整える。

2012年8月18日土曜日

マグロみたいに

夏場に食べることが増える魚にカツオがありますが、毎回タタキや刺身というのも芸がなく、かといってわざわざ加熱しなくても。と思ったよりバリエーションがないと反省。

そういえば仲間のマグロはヅケにしたり、生でもいろいろ他の食材と合わせたりとアレンジ料理があることを思い出し、ちょうど食べ頃のアボカドが冷蔵庫にあったので、とりあえずアボカドと一緒にすることにしました。いつもはカツオにはショウガですが、アボカドに合わせてワサビで。

こうしてみると結構なんでもいけそうな気がしてきました。
まだまだ夏。カツオ待っておれ。

普通にワサビ醤油で美味しくいただきました。

2012年8月17日金曜日

冷やす?温める?

夏には身体を冷やす食材で対策!火照ったカラダを冷やす作用のあるトマトナスウリ類はこの時期元気なものがたくさん出回りますから、美味しくたくさん食べられます。

身体を冷やす食材のキュウリは、水分が多く栄養価はあまり高くないのですが、カリウムカルシウムを含み、利尿効果、むくみ解消効果がありますから、夏には積極的に食べたい食材ですね。

ところがこの身体を冷やす効果のある食材だけでは、冷房や冷たい飲み物が豊富な現代では身体にとっては負担なようで、同時に身体を温める効果のある食べ物もバランスよく同時摂取することが必要だとか。
野菜ではネギ、ショウガ、カボチャ、ニンジン、ニラなどがあるようです。

冷やす食材のキュウリと温める食材の鶏肉を炒めました。

<鶏肉とキュウリの炒め物>
鶏胸肉は塩と砂糖をまぶし、少量の油を敷いた鍋に入れアルミホイルを落としぶたにして短時間加熱し、余熱で蒸し焼きにしたら食べやすい大きさにカットする。
油を敷いたフライパンにおろしショウガをいれ、細切りのキュウリ、シメジ、鶏肉を炒め、紹興酒を振る。塩、コショウで味を整え、香り出しにゴマ油を少量回しかける。

2012年8月16日木曜日

並べて観察

武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の「モジもじ文字」展でグラフィックデザイナー平野甲賀氏の描き文字を見て、いくつか見覚えのあるものがあったのでkitaCafeの本棚をあさってみました。

なかでも椎名誠さんの本の題字はとても多く、文庫版だけですが取出して並べてみると、同じ作家名でも微妙に違うデザインで描かれていることにも気付き、なかなかおもしろい発見。この題字が手描きというのですから凄いです。
複数の本を一度にこれだけ並べるということはなかなかしないので、それだけでも新鮮でした。

以前はデザイン学校といえば手描きで文字を描く「レタリング」の授業が必ずありましたが、近年はほとんど手描き文字のカリキュラムが減っているようです。
ベーシックなデザイン学習でのPCでの制作ではどうしても操作性がカタチに影響しやすいので、以前のような手描きのカリキュラムというのはもっと必要なのかもしれません。

>>「モジもじ文字」展のレビュー記事

2012年8月15日水曜日

いぶしの重さ


銀座のLIXILギャラリーで開催中の「聖なる銀 アジアの装身具 展」に行ってきました。(8/25まで)

その白い輝きが月光に喩えられ、アジアでは特別な金属として古来から親しまれた銀。
そのアジアの銀による装身具だけを集めた展覧会です。

純粋な銀は、全ての金属の中で、最も白く最も高い光反射率を持ち、古代エジプトでは銀は金よりも価値があったほどだそうです。

とても軟らかい金属であることも装身具として加工しやすかった所以なのかもしれません。

LIXILの展覧会は同時に本として出版されています(どちらかというと本の企画が先にあって展覧会をやっているというのが正しいのでしょう)。以前はブックデザインとしてデザイナーが参加していたのですが、最近ADという表記でグラフィックデザイナーの祖父江慎氏に変わりました。展覧会のSPも雰囲気が変わったので、総合的に関わっているということなのでしょう。
より視覚的な効果が素敵になり、とてもキレイな本なので困ってしまいます。

今回の「聖なる銀」もとても贅沢な作り。特に「銀」の重厚さや神秘性を感じさせる写真のいぶした感じのやや荒れた描写と、その写真を活かしたオペークのタイトル文字の色とバランスが凄いです。




2012年8月14日火曜日

ウナギでなくても

今年はウナギが高すぎてなかなか手が出ません。

奮発して「うな丼!」というのも悪くないとは思うのですが、それなりに決死の覚悟。
ウナギがメインならそれもいいのでしょうが、いつもは気軽だった「ウナギとゴーヤーの炒め物」が今年は食べられない。

それでも味が恋しくて、最近よく見る「アナゴの蒲焼き」で代用しました。
アナゴはウナギより身がやわらかいので、調理にやや気を使いましたが、充分美味しいのでもっと早く試せば良かったと反省しています。

ゴーヤーは加熱しすぎないように。緑が濃くキレイな状態が美味しいです。
中心が緑色の白い皿に盛ったので、より緑が映えたように思います。

<アナゴとゴーヤーの炒め物>
市販のアナゴの蒲焼きは、フライパンに酒をごく薄く入れて、軽く蒸す感じでタレも洗い落とす。(もったいないけど酒は捨てます。)
フライパンに油を引き、ニンニクで香りを付けて取出す。ネギのみじん切りを炒めたら、おろしたショウガ、ゴーヤーとパプリカとシメジとを炒め、最後に切ったアナゴを加える。少量の酢を加え、味が足りない時は砂糖と醤油を少量足す。
沖縄の香辛料「フィファチ」があるとなお良いです。

2012年8月13日月曜日

久々の段ボール作品を見た

話題のマウリッツハイス美術館展が開催されている「東京都美術館」では、リニューアルオープン記念企画展として「東京都美術館ものがたり 時代を駆け抜けた芸術家たち」が開催中。(9/30まで/入場無料)

佐伯祐三片岡球子藤田嗣治・・・と錚々たるメンバーですが、実はそれほど期待せず(無料だし)気楽な気分で入ってみたのですが、「あ、この作品知ってる。」というものばかりで、確かにこのメンバーの作品が並ぶというのは贅沢な展覧会でした。しかも無料。

日比野克彦氏の藝大の卒業制作が展示されていたのも懐かしく思いました。

別室では美術館自体の歴史展示があり、リニューアル前後の精巧な建築模型もあってとても楽しめる展覧会でした。

2012年8月12日日曜日

快適でないこと


マウリッツハイス美術館展の会場を出てすぐ左側には、ガラスの向こうに地下吹き抜けの展示室が見えます。
ここで開催されているのが「生きるための家 展」。
次世代を担う建築家による住宅提案の公募による優秀作品展です。(9/30まで)

一般的な住宅展とことなり、「すまう」ということの意味を問うこの公募は、現実的でないながらもそこに住むことでしか得られない生きる感覚を刺激する提案が多く、見ていてとても考えさせられるものばかりでした。

最優秀賞が1/1モデルで会場に再現されていて、吹き抜けを囲む階層からも楽しめます。

住むための家でありながら住みにくい提案。
すぐに思いつくのが荒川修作氏とマドリン・ギンズ氏による三鷹天明反転住宅
住みにくさのレベルはまったく違いますが、安藤忠雄氏も何かのインタビューで、自身の設計した住宅で隣の部屋に行くために屋根のない中庭を通り、雨の日は傘をさす不便さをあえて肯定していました。
住宅には住み易さ、快適さだけを求めがちですが、住むことの意味というのはもっとずっと深いものなのかもしれません。


2012年8月11日土曜日

喜の魚。

天ぷらのネタように売っていたキス(鱚)の開きで南蛮漬けを作ってみました。

魚の下処理がないというのはとても楽なことですね。
高タンパク低脂肪鉄分カルシウムを多く含みますが、特にキスのタンパク質は必須アミノ酸の含有率が高く効率的にタンパク質を摂取できるそうです。

夏場が特に美味しい時期でとてもあっさりした旨味のある魚ですが、酢の旨味との相性もばっちり。水分がとても多いのでしっかり水分を拭き取ってから調理するのがポイントです。

<キスの南蛮漬け>
水分を良く拭いたキスにかたくり粉をはたき多めの油で揚げ焼きし、あらかじめ用意した甘酢に唐辛子、タマネギ、パプリカと共に漬け込む。

2012年8月10日金曜日

8月に行きたい展覧会

なかなかチェックしながらも行けないまま終了してしまう展覧会が多いのですが、チェックしなければ始まらないのでめげずにチェック。
以前からチェックしたものに加え、新情報も交えて再整理しました。
少しでも効率的に回りたいのでコース取りが難しいです。


「THE POSTERS 1983-2012 世界ポスタートリエンナーレトヤマ受賞作品展」
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
(開催中〜8/28)

紙とデジタルファブリケーション 手と工作機械の折り合い
竹尾見本帖本店
(8/15-9/7)

「作陶100年記念 バーナード・リーチ展」
日本民藝館
(開催中~8/26)

「バーナード・リーチ展」
日本橋高島屋8Fホール
(8/29〜9/10)

「テマヒマ展」
21_21DESIGNSIGHT
(開催中〜8/26)

「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」
うらわ美術館
(開催中〜9/2)

「自然の鉛筆 技法と表現」
東京都写真美術館
(7/14~ 9/17)

「アール・デコ 光のエレガンス展」
パナソニック 汐留ミュージアム
(開催中~9/23)

「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技 エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。」
東京都現代美術館
(開催中~10/8)

「Future Beauty 日本ファッションの未来性」
東京都現代美術館
(7/28~10/8)

2012年8月9日木曜日

はやまった。

タイ料理で有名なソムタム

まだ青い未熟なパパイヤを使った辛くて酸っぱいサラダ風和え物。未熟のパパイヤは沖縄でもチャンプルーなどで食べる食材なので、沖縄食材店では手に入るのですが、近所にないためめったに食べられません。

たまたま近くのスーパーでまだ青いパパイヤが出ていて、やや黄色くなり始めているものの、充分固いので購入!
今年初めてのソムタムができると他の材料を揃えて、パパイヤをカット!

・・・・・。

すでに熟し始めてました。

仕方ないので比較的固い部分のみを使ってソムタム風に。
未熟ではない甘味が出ていますがそれはそれで「アリ」な気がしました。
次はちゃんと沖縄食材店で買おうと気めました。

<やや熟したパパイヤのソムタム>
薄切りしたパパイヤ、千切りのキャベツ、ゆでて薄切りしたエビをレモン汁または酢、砂糖、ニンニクのみじん切り、ナンプラー、唐辛子、干しえびのタレで混ぜ合わせる。できればパクチーを加えたい。

2012年8月8日水曜日

文字がおもしろい


竹尾青山見本帖で開催中の「タイポロジック二〇一二」に行ってきました。(8/10まで)

デザインとアートの両面から世界で活躍しているデザイナーや作家が参加している「タイポグラフィー」作品の展覧会です。

やはり文字をテーマに開催中でレビュー記事で紹介した「モジもじ文字」展(武蔵野市吉祥寺美術館)に出品されていた「嵯峨本フォントプロジェクト」も組版模型が展示されていました。やはり注目のプロジェクトなのですね。

個人的にはデザイナーのヨアヒム・ミュラー=ランセイ(Joachim Müller-Lancé)氏の「東西文字遊び(east-west letterplay)」が、ちょっと古い感じもありますがすぐ使えそうな無理のないアイデアで良いと思ったのと、安次嶺綾香さんのおたまじゃくしをモチーフにしたフォント「もじたまじゃくし」がユーモラスで完成度も高く感じました。

会期終了間近ですが、グラフィックデザインの学生さんには、「作品」としての完成度や見せ方などもとても参考にしてほしいと思う展覧会でした。





2012年8月7日火曜日

毎年の夏テーマ

夏といえば「」。

ビタミンCの破壊を防いでカルシウムの吸収力を高め、消化吸収を助け、疲労回復をサポートするほか、血液をサラサラにし、血圧・血糖値・コレステロール値を正常化にする効果、内蔵脂肪の減少蓄積予防効果や 細菌の増殖を抑えるなどなど、夏には欠かせない調味料です。

汗をたくさんかく夏は「塩梅」という言葉があるように塩分と酸味が大事ですね。
何よりも夏になるとカラダが酢を欲している気がします。
できるだけ毎日、酢のものを取り入れたメニューにしたいので、何でもマリネにしています。

<エビのマリネ>
下ごしらえをしたエビは小麦粉をごく薄く振って多めのオリーブオイルで揚げ焼きし、白ワインを加えアルコールを飛ばしたら、タマネギ、パプリカの薄切りとともに酢、塩、コショウに浸ける。クレソン、水菜などを飾ると色合いがキレイ。

2012年8月6日月曜日

パリで見たくなる


映画「クレージーホース・パリ」を見ました。(東京ではBunkamuraル・シネマのみ上映~8/10(金)

ムーランルージュ(Moulin Rouge/1889年~)」、「リド(Lido/1946年~)」とともにパリの3大ナイトショーのひとつで、シャンゼリゼの近くのルイ・ヴィトン本店などがあるジョルジュ通りにある「クレイジーホース(CRAZY HORSE /1951年~)」を追ったドキュメント。

 「裸の芸術(ヌード・オブ・ザ・アート)」とも称されるこのクレイジーホースには、カール・ラガーフェルドやエマニュエル・ウンガロらが衣装を、サルヴァドール・ダリが舞台用セットをデザインしたこともあるという経歴もあり、世界中のセレブも訪れるパリで最も前衛的なキャバレーなのだそうです。

ドキュメンタリーの巨匠として多くのダンス界の映画を制作しているフレデリック・ワイズマン(Frederick Wiseman)監督によるこの映画の魅力は、全編に散りばめられた見事な演出によるダンサーたちの美しいダンス映像なのですが、その間に挿入されるリハーサル・メイクアップ・衣装・オーディション・スタッフ会議会議などのシーンがダンスをより魅力的にしています。


映像としてのヌードは絵画、彫刻などの分野とは異なり生々しさがつきまとうため、なかなか日本では表に現れにくいですが、1980年代の半ば頃に、ロバート・メープルソープ(Robert Mapplethorpe)やヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)、ハーブ・リッツ(Herb Ritts)、ベッティナ・ランス(Bettina RHEIMS)をはじめとする写真家のヌード写真が多くの写真展や写真集として紹介された時期があり、この頃はヌード芸術が流行したような印象すらありますが、ヌードの芸術性という論争、が少しずつ「女優のヌード写真集」というメディア論争に変化していったところにまだまだ日本の一般的な芸術意識の低さを感じたものでした。

ヌードの研究書で、身体文化史とも言える評論家の伊藤俊治氏(東京芸術大学教授)の「裸体の森へ」は、裸体のイメージがもたらす精神感情が客観的に述べられ、少し難解で読みづらいところもありますがおすすめです。





2012年8月5日日曜日

梅干しのチカラ


昔からカラダにいい万能食品として定着している梅干しは、塩分濃度が高いことから食べ過ぎには注意が必要です。
最近は減塩することで日持ちが悪くなる分、保存料を添加するなどの製品も多いのですが、できるだけ昔ながらの製法の方が安心ですし、しかも美味しいので個人的には減塩でないものが好みです。

おにぎりの具やそのまま白いご飯と一緒に食べるのも美味しいですが、食材に和えるだけもアクセントになって美味しいので調味料代わりにとても重宝します。

<ゴーヤーの梅干し和え>
薄切りのゴーヤーは熱湯にくぐらせる程度に加熱し冷めたら梅干し、かつお節と和えるだけ。

2012年8月4日土曜日

並んだ。見た。


上野の東京都美術館で開催中の「マウリッツハイス美術館展」に行ってきました。(9/17まで)

相当の混雑を覚悟し、朝一番で入ることを考えていたのですが、公式サイトの「過去の混雑状況」では午前中がピークのことが多く(暑いからですかね)、1時間ごとの「待ち時間」が昼に向かって少しずつ減って行くので、12:30到着を目指して移動。20分待ちで入れました。(本当はもっと遅い方が待ち時間なしのようでしたが、なかなか予定が付かなかったので)
都立美術館の新館が会場でリニューアル前のように地下の中庭から入るのですが、新館は一番奥になるのでかなりの行列ができても館内で冷房が効く場所での待ち。
さすがにこの暑さで外はキツイから助かりますが、外にもテントが張ってあったので大混雑時は外まで並ぶことがあるのかもしれません。

さて。フェルメールの「少女」は一つ上がった1階。
B1展示室を見てエスカレーターを上がるとそこでまた行列です。
感心したのは、最前列で見たい人は行列へ。人の頭越しに遠くからでいい人はそのまま進むというシステム。これだけでかなりスムーズな感じです。
もちろん迷わず行列へ。
こんなに並んで美術品を見るのは「阿修羅像」以来かも。

会場内は暗いので本を読むわけにもいかず、美術館内なので携帯電話見るわけにも行かないし。などと考えていると思ったより列が進むのが早い。おかしいと思ったら最前列は停止禁止。歩きながらの鑑賞ってどうなのでしょう。ちょっと不服ですが、そのまま遠目の集団に紛れ地道に前の方へ。最前列の通路の後ろですが、後方の方がゆっくり見ることはできます。

そんな感じでやや苦労しての観賞でしたが、やはり実物を見て良かった。
想像より青が明るく感じましたが絵の力が違います。
「少女」だけでなく、他の作品群も、行列しても見る価値ありの展覧会でした。

グラフィックデザイン系の人はもう一つぜひ見て欲しいものがあります。

今回、展覧会の公開に合わせ、創業90周年となる小学館がとても豪華な画集を製作。裸眼では網点が見えない世界最高水準の高精細印刷による「フェルメール全作品集」。ADはグラフィックデザイナーの松永真氏。限定1000部の希少本。ミュージアムショップでガラスケースに入っていますが、なんと係の人に頼めばその場で実物を手にとって見られます。作品の拡大図版もありとてもすごい仕上がり。
見せてもらっているあいだはずっと係の人が何気なく横に立っていますが、そんなことには構わず、1ページずつじっくり見させていただきました。
この印刷はホント良いです。これだけの印刷物を見る機会はなかなかないので是非手に取って見て欲しいですね。
限定1000部が制作され、先行販売も含め750部ほどが出たそうですが、まだ残りがあるので購入した方がいたらぜひ見せてください。

おまけではありますが、今回の宣伝で武井咲さんが着用した衣装が、ミュージアムショップを出てすぐにあります。

文化服装の先生や学生さん達が制作したものですが、時代考証や宣伝活動の場での華やかさの演出などの制作エピソードの解説があり、これはこれでとても面白かったです。






2012年8月3日金曜日

とても困った


学校が夏休みになって、都心方面へ出向く機会が減ったせい?でもないのでしょうが、毎日の日差しにめげて何となく出不精な毎日。チェックしていた展覧会が気付けば終了間近になっています。

世界報道写真展(東京都写真美術館)」が8/5まで、「タイポロジック2012(竹尾見本帖本店)」が8/10まで、「仲條正義展(資生堂ギャラリー)」と、「ボローニャ国際絵本原画展(板橋区立美術館)」が8/12まで。「バーナード・リーチ(日本民芸館)」と、「テマヒマ展(21_21DESIGNSIGHT)は8/26まで、「ブラティスラヴァ世界絵本原画展(うらわ美術館)」は9/2まで、9/17までですがそろそろ「マウリッツハイス美術館展(東京都美術館)」にも行っておきたいし。

と思ってスケジュール確認していたら「去年マリエンバードで(メゾンエルメス)」と「写真の現在(東京国立近代美術館ギャラリー4)」はすでに終了で見損ねた。

一体どう動けばいいんだろうか。秘書がほしいです。

2012年8月2日木曜日

文字に浸る


吉祥寺にある武蔵野市吉祥寺美術館で開催中の「モジもじ文字」展に行ってきました。(9/9まで)
「文字デザイン」のジャンルで活躍されている、平野甲賀氏、鳥海修氏、大原大次郎氏の3名の作品から文字の愉しさを紹介する展覧会です。
この武蔵野市吉祥寺美術館は、もと伊勢丹新館の最上階に作られたとても小さな美術館で、入館料も企画展、常設展合わせて100円というとてもお気軽な美術館ですが、小ささを上手く利用したとても中身の濃いユニークな企画展を多く開催する美術館です。

今回の「モジもじ文字」展。

まず感心したのがグラフィックデザイナー大原大次郎氏の「もじゅうりょく」。
展示されている読めない文字は、文字が様々なパーツから作られている記号なのだということを再認識させてくれました。

期待通りだったのがグラフィックデザイナー平野甲賀氏の「描き文字99」。
本の装丁で使用された題字を中心に新作を交えた作品群では、パターンがありそうでない描き文字に圧倒されました。kitaCafeの本棚にあるはずの本のタイトルもあり、手持ちからどれだけあるか探してみたくなりました。

事前イメージを遥かに超えるほどの凄さだったのが書体設計士の鳥海修氏の「字游工房と嵯峨本フォントプロジェクト」。
フライヤーの題字「もじ」にあるように「崩し字」の書体ですが、よく考えると単独の活字だけではない連なる崩し字をどうやって?という疑問をこれまで持って来なかった浅はかさに反省。
元本の嵯峨本についても、本阿弥光悦が書いた墨書き崩し字を1文字、2〜4文字という単位で分けられた「木活字」に起して印刷された出版物だということを知りませんでした。漢字とひらがなだけの組合わせだけでも相当な数になる日本語ですが、崩し字になることで同じ文字でも違う字形の物が増え、更に連なる文字のバリエーションもあるのですから、その数は想像できないほど増えて行きます。
更にこのプロジェクトの凄さ。
嵯峨本の木活字は現存しないため、印刷された出版物から、1文字、2〜4文字という単位の木活字の連なりを検証し、デジタルに置き換えたプロジェクトであるということ。
今回、制作したデジタルフォントから逆に3Dカッターで木活字を切り出した「仮想組版」も展示されています。
この組版を見るだけでも感動ものです。
展示は「伊勢物語」一段と九段から選抜されフォント化された文字が組版されて大きな和紙に刷り上げられています。
デジタルにすることでサイズに対して自由度が出る事も大きな魅力。
同じ文字の異字形、同字形を探すのもとても楽しいです。

会期が9/9まであるので、もう一度見に行きたいと思っています。

2012年8月1日水曜日

技術と観察

先日の銀座ADC賞展でクリエイションギャラリーG8から銀座グラフィックギャラリーへ移動していた途中の道で、偶然『今森光彦の世界Ⅱ 切り紙展「蝶」』を開催中でした。(7/28で終了しました)

昆虫や里山などの自然をテーマとした写真で日本を代表する写真家の一人である今森光彦氏が、近年自然を題材にした切り紙の世界でも注目を浴びていることは何となく知っていましたが、実際に作品を間近で見るのははじめてです。

切り絵というのはもともとは中国が起源の紙工芸ですが、切った紙の造形を楽しむほかにも、紙を切って行く過程をパフォーマンスとして楽しむ「切り紙」や、染め物の型紙などの発展をしてきたもので、染め型の技術の「型彫」は日本を代表する伝統工芸のひとつとして有名です。

型彫は小刀を使って紙を「彫り」ますが、今森氏の切り紙はすべてハサミをつかって「切り」ます。

ハサミで紙を切る場合、窓を空けるには紙を2つに折って切ったところ切り広げるということができますが、今森氏の切り絵はカッターナイフで切ったような細かさ。
どうやっているのかと思っていましたが、すべて外側からの切り込みがあるということが近くで見てわかりました。
技術を見せるものではありませんが、技術があってこの美しさが表現されているのですね。

今回の展覧会は「蝶」。
光の当たり方で左右の翅の色や模様が様々に変化する様子が表現され、昆虫写真家としての観察眼の鋭さに改めて納得の展覧会でした。