2012年6月1日金曜日

デザインへの着想


目黒区美術館で開催中の「シャルロット・ペリアンと日本」展に行ってきました。(6/10まで)

フランスのインテリアデザイナーであるペリアン氏が、1940年に建築家の坂倉準三氏らの尽力で日本の商工省に招かれて輸出品のデザインの指導をした時の活動を中心に紹介した展覧会です。

ペリアン氏の作品では、巨匠ル・コルビュジエ氏と共同でデザインしたシェーズ・ロング「LC-4」があまりに有名ですが、来日した1940年にこの鋼管製LC-4を原型とした木と竹のシェーズ・ロング「TOKYO」を制作。「民藝」運動の柳宗悦や河井寬次郎らと交流して理念に共鳴したペリアン氏が、地方に残る伝統的な意匠や技術を再生しようと試みたものだそうです。

この世界に1点しか存在しない竹製のシェーズ・ロングは、パリの装飾美術館でしか見ることができなかったといいますが、2011年にカッシーナ・イクスシーによって復刻され、今回の展覧会でも展示。竹製シェーズ・ロングTOKYOが原型となった鋼管製LC-4と共に観賞できるので、素材と加工技術を構造や意匠的な面から観察できるのはポイントですね。

また、フライヤーに使用されている成型合板の椅子も1枚の板材から切って曲げられているとてもシプルな構造で、影を意味する「オンブル(ombre)」という名称のこの椅子は、文楽の人形遣いの黒子から着想されたというのも発見でした。

この展覧会の観賞のポイントはもう一点。
ペリアン氏自身が撮影した数多くの写真。石や樹木などの自然が織りなす造形を切り取った写真からも、インテリアデザイナーとしての造形の源をうかがい知ることができます。

デザインの発想の仕方がとても柔軟なことに驚く展覧会でした。

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