2010年10月5日火曜日

黒い外壁の秘密

瀬戸内国際芸術祭で作品を見る以上に楽しかったのが、瀬戸内の自然環境や人々の生活環境。

町並みの楽しさもありますが、特徴的な建物の建築素材に惹かれました。


遠目には真っ黒に見える家の外壁。

焼杉」です。












西日本ではそれほど珍しいものではないようですが、東日本ではないようです。
確かに今迄見た事がありあせんでした。

杉の板を三枚筒状に縛り、煙突上の内側で火をく
べると表面が真っ黒に炭化し、焼杉ができるそうで、現在ではバーナーで表面をちょっとだけ黒く焦がした物も多いのですが、瀬戸内の民家には、完全に炭化した外壁が多く観察できました。

そのままの杉板では雨などがしみ込みやすいため、腐敗防止ための表面加工で、とても丈夫な外壁材になるそうです。

触ってみると本当に炭で、指が黒くなります。
木材の腐食防止方法には現在の化学処理の他にも柿渋など自然素材の処理方法がいくつかあるようですが、焼くだけというシンプルさがいいです。











経年変化で軒下の雨風があまりあたらない部分以外は炭が削れている部分や、新しい焼杉で補強した痕なども興味深かったです。

日本の伝統的な建築素材については建築家の藤森照信氏が多くの作品の中で試みており、また、氏の著書に詳しくありますので、興味のある方はぜひ手に取ってみて下さい。

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藤森 照信

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