2011年4月27日水曜日

それでも見ておきたい。

21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」展に行って来ました。
(5/8までなので急いで行ったのですが、会期が7/18まで延長されました。)












ミッドタウンの芝生が大勢の人たちで溢れていたので、混雑を覚悟しましたが館内は意外とすっきり。
はじめのうちは子どもたちが駆け回ったり奇声を発したりしていましたが、間もなく静かになりゆったり見られました。

倉俣史朗の作品として特に有名なのが今回の展覧会リーフレットにもある「ミス・ブランチ」。

1988年の制作発表当時に図版でこの作品を知った時は、封入されたバラは造花だしアクリル素材というもの自体も安っぽく感じられたため全然良いと思わず、現物を見なくても「知ってる」つもりになっていました。

その後、世の中にアクリル素材のプロダクト製品が増え、素材としてのアクリルに魅力を感じるようになり、「ミス・ブランチ」の現物を見てみたいと思うようになったのですが、これまでに56脚しか製造販売されていない伝説的な椅子で現物に出会う機会がないまま、今回の展覧会ではじめて見る事ができました。

透明なアクリルの塊に赤いバラが浮遊する椅子は、その浮遊のイメージに反し重量70kgもありますが、重量感はまったくなくどこまでも透明で、浮遊感の漂う軽やかで爽やかな印象と間近で見なければわからない現物の強さを感じました。
やはり図版で見ただけで知った気になってはいけませんね。

この展覧会は1980年代の当時のインテリアデザインに衝撃を与え、互いに交流のあった2人のデザイナーに焦点をあてたものですが、きっかけとなった1981年の「メンフィス展」やその運動といったテーマ、2人の関係性は展示からはほとんど感じられず、作品が個別に見えて来ています。

ソットサスのガラスの「カチナ」シリーズや「カールトン」、倉俣史朗の「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」などの作品を生で見られただけで満足の展覧会ですが、2人同時に取り上げたというコンセプトは弱かったように感じました。

上映していた映像も音声が聞き取りずらいクオリティで、もう少し手を加えることも考えて欲しかったです。

展覧会の会期延長に合わせて今日(4/27)から倉俣史朗の「ソラリス」とソットサスの「バレンタイン」が特別追加展示されています。

ソットサスの「バレンタイン」はMoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションに選定されるポータブルタイプライターの名作。
アンティーク市場でも人気商品ですが、1969年にソットサス自身がデザインしたポスターもかっこいい。
展覧会のテーマ性はともかく、見ておきたい作品が揃った展覧会でした。

1 件のコメント:

kaori さんのコメント...

割れガラスを用いたテーブルや、長いベッド、蝶や木の枝がカチコチ動く時計など、どの作品も繊細で美しいと感じました!

ちょっと笑ってしまったのが、スパゲティ用の自動くるくるフォーク。
映像では上手く巻き取れずボトっとパスタが落ちてしまうところが印象に残っています(笑)