2012年3月13日火曜日

修復絵画

会期終了間近のBunkamurザ・ミュージアムの「フェルメール展」を見てきました。
(3/14まで)

17世紀のオランダにおける風俗画を集めた展覧会ですが、もちろんタイトルにあるとおり目玉はフェルメールの作品で、現存は30数点と言われるフェルメールの作品がこの展覧会では3点展示され、しかもその1点はアムステルダム国立美術館所蔵の「手紙を読む青衣の女」の修復後世界初公開であり日本初上陸ということですから期待大でした。

フェルメールの作品の中でも小振りな3点でしたが、メインホールにゆったりと展示されとても見やすい空間が作られていて、一角には「手紙を読む青衣の女」の修復前と修復後の違いが説明パネルと映像で紹介されていて、とてもわかりやすい展示となっています。

絵画の修復については、傷みくすみの他、後年に修復加筆された部分の除去などがあり、修復前にはなかった画像が現れることもあってとても新鮮です。
油彩画は絵の具が何層にも重ねて塗り込められることが多く、エックス線による調査では画家本人による画像が発見されることも多々あるそうです。
この絵も当初は青い上衣にフレアが付いていたものをフェルメール自身が修正しているそうで、本人の筆致を見極めるのも凄い技術ですね。

この作品、図版では気付かなかったのですが、手前の椅子に売ってある金属の鋲にピントが行き、人物はやや甘いピントで描かれています。またもう一点の「手紙を書く女」でも人物の奥にある箱の模様にピントが行き、やはり人物ではやや甘いピント。
こうした表現はフェルメールが使用したと言われるカメラ・オブスキュラのレンズ特性により、窓から差し込む光の輝きや明暗の特徴を捉えたものなのでしょうか。
謎は深まるばかりです。

フライヤー表面では修復前のくすんだ色彩、裏面、チケットでは修復後の鮮やかな色彩の図版が使われています。


さて今回の展覧会の正式なタイトルは「フェルメールからのラブレター展」と言います。

出展されているのフェルメール作品が「手紙を読む青衣の女」、「手紙を書く女」、「手紙を書く女と召使い」の3作で、いずれも手紙を題材とした作品で、その作品にフェルメールが込めたメッセージをさぐるということから「ラブレター」という言葉を使ったのだと思われます。洋画を日本公開する際でも原題にはない「愛」を付けて「愛のナントカ」とか「愛とナントカ」などという邦題を付けることがよくありますが、それだけで観る気がしなくなるのと一緒です。
こういうのは恥ずかしいからやめて欲しいですね。

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