2012年8月6日月曜日

パリで見たくなる


映画「クレージーホース・パリ」を見ました。(東京ではBunkamuraル・シネマのみ上映~8/10(金)

ムーランルージュ(Moulin Rouge/1889年~)」、「リド(Lido/1946年~)」とともにパリの3大ナイトショーのひとつで、シャンゼリゼの近くのルイ・ヴィトン本店などがあるジョルジュ通りにある「クレイジーホース(CRAZY HORSE /1951年~)」を追ったドキュメント。

 「裸の芸術(ヌード・オブ・ザ・アート)」とも称されるこのクレイジーホースには、カール・ラガーフェルドやエマニュエル・ウンガロらが衣装を、サルヴァドール・ダリが舞台用セットをデザインしたこともあるという経歴もあり、世界中のセレブも訪れるパリで最も前衛的なキャバレーなのだそうです。

ドキュメンタリーの巨匠として多くのダンス界の映画を制作しているフレデリック・ワイズマン(Frederick Wiseman)監督によるこの映画の魅力は、全編に散りばめられた見事な演出によるダンサーたちの美しいダンス映像なのですが、その間に挿入されるリハーサル・メイクアップ・衣装・オーディション・スタッフ会議会議などのシーンがダンスをより魅力的にしています。


映像としてのヌードは絵画、彫刻などの分野とは異なり生々しさがつきまとうため、なかなか日本では表に現れにくいですが、1980年代の半ば頃に、ロバート・メープルソープ(Robert Mapplethorpe)やヘルムート・ニュートン(Helmut Newton)、ハーブ・リッツ(Herb Ritts)、ベッティナ・ランス(Bettina RHEIMS)をはじめとする写真家のヌード写真が多くの写真展や写真集として紹介された時期があり、この頃はヌード芸術が流行したような印象すらありますが、ヌードの芸術性という論争、が少しずつ「女優のヌード写真集」というメディア論争に変化していったところにまだまだ日本の一般的な芸術意識の低さを感じたものでした。

ヌードの研究書で、身体文化史とも言える評論家の伊藤俊治氏(東京芸術大学教授)の「裸体の森へ」は、裸体のイメージがもたらす精神感情が客観的に述べられ、少し難解で読みづらいところもありますがおすすめです。





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