2012年5月11日金曜日

伝説の雑誌


先日、東京国立近代美術館の「原弘と東京国立近代美術館ーデザインワークを通して見えてくるもの」を見てきました。(会期終了)

原弘(はらひろむ)氏は、タイポグラフィを中心に理論的に構築するデザインが特に有名で、ブックデザインの第一人者としても活躍した昭和を代表するデザイナーです。

今回の展覧会は、原氏が東京国立近代美術館の開館から関わった展覧会の告知ポスターを中心に、第二次世界大戦中に大日本帝国の対外宣伝として制作されたグラフ誌「FRONT(フロント)」などの出展もありました。

FRONTはソビエトのグラフ雑誌を参考に作られ、日本の国威・軍事力・思想等を誇示する狙いから世界15カ国語で翻訳され全10冊が出版。
フォトモンタージュ等を駆使した誌面作りは、グラフ誌としてのクオリティも高く、ロシアアバンギャルドの影響もうかがえる伝説の雑誌です。

80年代末に平凡社から僅かな部数がとても高額で復刻されましたが、その後は品切れのままなので現物を見る事はまずできません。
今回の展覧会でも中は少ししか見られなかったのが残念ではありますが、それでも伝説の雑誌をガラス越しに見ることができて満足。

東京国立近代美術館のポスターは現物のともに、印刷のための版下指定紙も数点ありましたが、これらは原氏が製版技術者への指示が描かれたものですから、デザイン制作のプロセスでのこだわりが感じられ現物のポスター以上に楽しく興味深く鑑賞しました。

展覧会の会期がもう少し遅ければ、デザイン学校の授業で見学に行けたのですが残念ですが、随分前に展覧会の告知はしたので、何人かは見てくれたのではないかと信じています。

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