2012年10月20日土曜日

離れているワケ

昨日に引き続き、古い写真機材の話題。
もうひとつ面白いものが出てきました。

距離計です。

今ではカメラのピント合わせはほとんどがオートフォーカスですが、その昔は目測という時代があって、カメラを構えて被写体まで何メートルだなと予測して(とてもアバウト。もちろん測っても良いのですが)、その数値をカメラのレンズに刻まれたナンバーで合わせ(ここでもアバウト)ていました。

その後、距離を測る距離計がカメラに組み込まれたいわゆるレンジファインダーカメラが登場し、ピント合わせは格段に進歩しました。

この距離計。
正式には光学視差式距離計と言って、人の目が左右で離れているので立体視できるというのと同じ原理。離れた2つの対物レンズの図像のズレをプリズムに送り、重ね合わせることで距離を測るものです。

もともと軍用に開発された測距儀がベースのものです。
離れた所へ放物線を描いて飛んで行く砲弾の命中率をあげるためには、発射地点から目標物までの正確な距離を、発射地点から知ることが必要だったということなのですね。

その測量は基線長という2つの対物レンズの距離が長いほど正確な数値が得られるため、軍艦などに搭載される測距儀はかなり大型だったようです。
戦争映画などでも左右に伸びた対物レンズを持つ双眼鏡のような測距儀を使う兵隊の姿を目にすることも多いです。

レンジファインダーカメラに組み込まれる前は、カメラのフラッシュなどをつけるアクセサリーシューに付けて使う小型の距離計として考案され、後にさらに小型化されカメラ内に組み込まれさらにピント合わせの装置と連動されたわけです。
これは日本のカメラメーカーwalz(ワルツカメラ社)製の距離計。
ドイツの目測カメラであるローライ35(Rollei35)に付けた不格好さが結構好きでした。
距離はかなり正確に測れますが、結局カメラのピント合わせはレンズに刻まれた大雑把な数値を合せるので誤差が生じます。そのあたりのファジーなところもまた良いところなのです。

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