2012年1月14日土曜日

空間的環境の感覚

東京都現代美術館で開催中の「建築、アートがつくりだす新しい環境ーこれからの“感じ”」展に行ってきました。
1/15までの会期なので滑り込みです。


世界各国で活躍している建築家やアーティストが参加しているこの展覧会は、空間的な環境性をテーマに作品を出品しているものなので、展示されている作品の表現のバリエーションがまず豊富で、多くの建築展にありがちな「小難しい」解釈はなく、空間や環境を作り出すためのスタディ模型が多くされていて、実際にカタチによる試行錯誤が見て取れ、感覚的にも理解しやすいものになっています。

展示作品の中でも特に印象的だったのが、共同企画として参加し出展もしている建築家の妹島和世氏と西沢立衛氏のSANAAが手掛けた「ロレックス・ラーニングセンター(2010年/スイス)」を舞台にし、人と建築の対話を描いた映像作品「もし建築が話せたら…」で、起伏のある巨大な一室の中に個別の機能を持ったつながりのある空間が作られている環境がよく現れ、別に展示された模型とリンクでき、写真ではない動画としての利点がよく現れた作品でした。

この作品は「パリ、テキサス(Paris,Texas/1984年)」や「ベルリン・天使の詩(Der Himmel über Berlin/1987年)」などで知られる映画監督のヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)氏による作品です。

この映像にはSANAAの2人がセグウェイに乗ってロレックス・ラーニングセンターの敷地を走る映像も挿入され楽しいものになっていました。

更にこの展覧会では関連企画として、震災被害を受けた三陸の集落を模型で復元した「失われた街」が開催されています。
昨年末にギャラリー間で開催された同名の展覧会と同様に、全国の建築学生によって作られた1/500で実現された三陸の11の復元模型が展示され、模型の脇やリーフレットに表示されたQRコードを読み取ると模型で作られた地域の現在の航空写真が見られ、震災前後の様子を地形的に捉えやすい工夫がされているもので、とても意義のある企画です。

模型はそれぞれの集落に持って行き、地元の人たちを対象に、近所の様子を思い出して色を塗ってもらうワークショップを開く予定だそうですが、まだまだ巡回展とするなどより多くの人に見てもらいたい企画だと思います。

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