先日の新聞記事にあったように2010年は近年の「現代美術流行」をさらに加速させた年でもありました。
これまで難解とされた「現代美術」を広義に捉えた企画展の開催など、「芸術」という言葉の意味が「現代」において変化してきていることに、美術館が対応できる環境に変化してきたことが大きな要因ではありますが、加えて大手新聞社による広報だけではないプロモーションの広がりにも成功の鍵があるように感じます。
「レベッカ・ホルン展(東京都現代美術館)」
http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/107/
ドイツの現代美術家である「レベッカ・ホルン」の作品は美しい装置という感じの作品で、動的な魅力と静的な魅力は造形に対する繊細な精度から感じられるものなのでしょう。
「ウィリアム・ケントリッジ-歩きながら歴史を考える(東京国立近代美術館)」
http://www.momat.go.jp/Honkan/william_kentridge/index.html
現代美術の展覧会では「映像」を駆使した作品も多く見られますが、「ウィリアム・ケントリッジ」の展覧会では映像作品が「メイン」といっていいほどのインパクトがありました。作品量や作業量が作家の凄さを測るスケールではありませんが、木炭で描いたアニメーションをあれだけの量作り上げることはやはりスゴイことだと思います。
「草間彌生展ワタシというナニモノかへの問い(武蔵野市立吉祥寺美術館)」
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/data/kikaku/2010/kusama/kusama.html
世界的な前衛芸術家である草間彌生の作品に出会うことは比較的多いものの、ある限られた時期のしかも版画とコラージュのみに焦点をあてた展覧会となると見え方がまた違いました。
小さい会場ながら草間彌生の世界観の断片が見えてくるような広がりのある展覧会となっていました。
その他、現代美術という括りではありませんが、現代建築や現代デザインの分野で実験的な試みをした展覧会、現代の作家から写真家と画家の展覧会でで印象的なものをリストアップしました。
「THE OUTLINE 見えていない輪郭 展(21_21 DESIGN SIGHT)」
http://www.2121designsight.jp/program/outline/
プロダクトデザインを空気感とともに感じさせるコンセプトが展覧会としてとても新鮮でした。何よりも写真が良かった。
「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション展(東京国立近代美術館)」
http://www.momat.go.jp/Honkan/where_is_architecture/work_in_progress/
著名建築家7人によるインスタレーションはとても贅沢な空間だ。欲を言えば、それぞれの境界という空間をどうするかという問題にも取り組んでもらいたかった。
「“これも自分と認めざるをえない”展(21_21 DESIGN SIGHT)」
http://www.2121designsight.jp/program/id/
それぞれの作品が体験型であることが一番の売りであるのだが、そのことが逆にストレスにもなってしまうやや「矛盾」のある展覧会。作品としての発想や仕掛けは実に素晴しくとにかく面白い体験でした。
「REALITY LAB 再生・再創造 展(21_21 DESIGN SIGHT)」
http://www.2121designsight.jp/program/reallab/
細かい説明を全く知らなくても十分にコンセプトが感じられる作品の強さがあった。
「ジャンルー・シーフ写真展(東京都写真美術館)」
http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-22.html
モノクロームプリントの美しさを十分に感じさせてくれた展覧会でした。
「猪熊弦一郎展いのくまさん(東京オペラシティアートギャラリー)」
http://www.operacity.jp/ag/exh117/
絵本をそのまま展覧会にしたというコンセプトが面白い。空間構成もシンプルながら説得力あり。
以上の中から2010年のベスト10を勝手に選びたいと思います。
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