2012年8月2日木曜日
文字に浸る
吉祥寺にある武蔵野市吉祥寺美術館で開催中の「モジもじ文字」展に行ってきました。(9/9まで)
「文字デザイン」のジャンルで活躍されている、平野甲賀氏、鳥海修氏、大原大次郎氏の3名の作品から文字の愉しさを紹介する展覧会です。
この武蔵野市吉祥寺美術館は、もと伊勢丹新館の最上階に作られたとても小さな美術館で、入館料も企画展、常設展合わせて100円というとてもお気軽な美術館ですが、小ささを上手く利用したとても中身の濃いユニークな企画展を多く開催する美術館です。
今回の「モジもじ文字」展。
まず感心したのがグラフィックデザイナー大原大次郎氏の「もじゅうりょく」。
展示されている読めない文字は、文字が様々なパーツから作られている記号なのだということを再認識させてくれました。
期待通りだったのがグラフィックデザイナー平野甲賀氏の「描き文字99」。
本の装丁で使用された題字を中心に新作を交えた作品群では、パターンがありそうでない描き文字に圧倒されました。kitaCafeの本棚にあるはずの本のタイトルもあり、手持ちからどれだけあるか探してみたくなりました。
事前イメージを遥かに超えるほどの凄さだったのが書体設計士の鳥海修氏の「字游工房と嵯峨本フォントプロジェクト」。
フライヤーの題字「もじ」にあるように「崩し字」の書体ですが、よく考えると単独の活字だけではない連なる崩し字をどうやって?という疑問をこれまで持って来なかった浅はかさに反省。
元本の嵯峨本についても、本阿弥光悦が書いた墨書き崩し字を1文字、2〜4文字という単位で分けられた「木活字」に起して印刷された出版物だということを知りませんでした。漢字とひらがなだけの組合わせだけでも相当な数になる日本語ですが、崩し字になることで同じ文字でも違う字形の物が増え、更に連なる文字のバリエーションもあるのですから、その数は想像できないほど増えて行きます。
更にこのプロジェクトの凄さ。
嵯峨本の木活字は現存しないため、印刷された出版物から、1文字、2〜4文字という単位の木活字の連なりを検証し、デジタルに置き換えたプロジェクトであるということ。
今回、制作したデジタルフォントから逆に3Dカッターで木活字を切り出した「仮想組版」も展示されています。
この組版を見るだけでも感動ものです。
展示は「伊勢物語」一段と九段から選抜されフォント化された文字が組版されて大きな和紙に刷り上げられています。
デジタルにすることでサイズに対して自由度が出る事も大きな魅力。
同じ文字の異字形、同字形を探すのもとても楽しいです。
会期が9/9まであるので、もう一度見に行きたいと思っています。
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