デザイン学校の近代デザイン史の中でも登場したペーター・ベーレンス(Peter Behrens)は、電機メーカーAEGのデザイン顧問として同社のすべてのデザイン理念を統一したイメージで実施したことで、CI(コーポレートアイデンティティ)の先駆けであると言われています。
このCI。企業や団体が自身の特徴や個性を共通したイメージとして消費者に認識できるように、社名やブランド、ロゴやコーポレートカラーなどのヴィジュアルデザインをその理念と共に統一して発信して行くことですが、日本では80年代末から90年代の初めにどこの企業も「CIを導入」というブームがあったほどでした。
言葉としての流行りはなくなったものの、社会の変化とともに企業の感覚も変化し対応していくということはとても重要で、現在でも頻繁に行なわれています。
さて、日本ではじめて食料品のスーパーマーケットを開業した「紀ノ国屋」。
2008年の青山の紀ノ国屋インターナショナルのリニューアルに合わせ、37年振りにロゴをリニューアルし、ばらばらだった900アイテムに及ぶプライベートブランド商品のパッケージのリニューアルも併せて行なわれたことは、一時ニュースで話題にもなりました。
旧ロゴは資生堂の数々のグラフィックデザインを手掛けた山名文夫氏。
このリニューアルを行なったグラフィックデザイナーの廣村正彰氏によると、『旧「KINOKUNIYA」のフォントは書体も字間も詰まっていて個性的であるが古めかしく見えるため、全体的にゆったりとしたデザインに変更し、上下2段のデザインとすることでパッケージや店舗にマークを展開する際の自由度を飛躍的に高め、フレッシュなイメージを打ち出すことを狙った』ということです。
確かにデザインが洗練され現代的でもあるのでしょうが、紀ノ国屋の紙バッグが新デザインに変わった時はとても淋しく、旧バッグを急いで保存版にしたものでした。
それから数年。紙バッグをもらうたびに「昔のデザインが良かったなぁ」と未練がましく思っていたのですが、なんとここ最近になって旧デザインに戻っています。
紀ノ国屋の旧デザインはエコバッグのデザインにも展開され、数年前はブームとなったほどの人気商品。さすがに今回のロゴのリニューアルでもエコバックだけは旧デザインのままでしたが、懐かしむ利用者の声が多く復活ということなのでしょうか。
旧デザインのファンとしてはずっとこのままであって欲しいと思っています。
左が廣村版(新デザイン)。右が山名版(旧デザイン)。
最近になって旧デザインが復刻しています。
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昨年スタバのロゴが変わった際にもがっかりしました。
返信削除理由あれど単なる経費削減に見えてしまい‥
ロゴが変わるということはデザイン料やらそれまでのアイテムの作り直しやら相当な経費が掛かるはずですが、たしかに経費削減みたいに思えますよね。結局総合的に意味あるの?ということって良くあります。
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